今年の「なごや会」(公共図書館で働く視覚障害職員の会)は、初日に例年とは違った角度からのセミナーが開かれました。場所は、千代田区内の日本文藝家協会。読書工房の成松一郎さん主宰の出版UD研究会とのコラボです。
第55回出版UD研究会&なごや会セミナー、「聞いて・感じて、音声による読書の世界」。
参加者はいつもですと、ほとんどなごや会会員と開催地の図書館職員、お手伝いをかねた音訳ボランティアというところでしょうか。
今回は、出版関係者、ウェブデザイナー、大学関係者、作家等々、さまざまな立場のみなさんが参加。
まず、なごや会の服部さんから、公共図書館の障害者サービスの紹介。続いて出版UD研究会の成松さんからは、さまざまな読書スタイルの紹介がありました。
私たち音ボラネットは、「音訳図書ってどんなもの?」ということで発表と実演。耳の肥えたユーザーと熱心な参加者に、緊張しました。
朗読と比べ、音訳はあまり一般に知られていない現状、だれでもすぐに音訳ができるわけではないことなど、お話ししました。
マンガもニーズがあるということで、葛飾音訳ボランティアの会の「こち亀」を紹介。
更には、話題の「君の膵臓をたべたい」(キミスイ)を、肉声、オーディオブック、合成音声で聞き比べます。
肉声は、音訳者代表で新宿区の南部優子さん。
次に日本オーディオブック協議会の上田さん。合成音声Ⅰは、日本電子出版協会の岡山さん。合成音声Ⅱは、なごや会の松井さん。
オーディオブックは、プロの声優さんの読みです。
我らが南部さんの読みは、目の前に女子高生がいるみたいとユーザーのみなさんから大好評でした。肉声の素晴らしさを味わうことができました。
松井さんからは10種類ほどの合成音声ソフトの紹介がありました。進化しています。早く情報がほしいときは、これでも十分という感じです。
その後のワークショップでは、「聞いて、考え、描いてみる」。同音異義語の確認、文章を聞いて絵を描いてみたりと、面白いコーナーでした。
十分な打合せの時間があったわけではなく、どうなるのか、多少の不安はなきにしもあらず。でも、スムーズにいきました。
一座を組んで、地方回りをしましょうかと冗談も出るほどでした。楽しく実になるセミナーだったと思います。
冗談ではなく、他でもこういうコラボができたらと思いました。たまには切り口を変えてみると、新鮮です。