3月7日、都内世田谷区で津軽三味線の踊正太郎さんの演奏と国立民族学博物館の広瀬浩二郎さんのトークがありました。お二人とも全盲です。少し遅れてしまった私は案内されて一歩会場に入るやいなやドアが閉められ、半端じゃない真っ暗闇に焦ってしまいました。踊さんの力強いバチさばきは聞こえるものの、自分は会場のどの位置にいるのか、広さは?参加者は?まるでわからない。しまいには津軽三味線の音色がどの方向から聞こえてくるのかすら定かではなくなる。
ようやく演奏が終わり広瀬さんのトークがはじまる。リンゴのにおいのするアメを配られる。暗闇を自在に動いている気配。「まだアメをもらっていない人」と言われ、思わず黙って手を挙げようとして、声を出さなくてはと気付く。「ハイ!」という声と同時に差し出した私の手に広瀬さんがアメを置いてくれる。続いて、点字の名刺大の紙が配られた。点がいくつ打ってあるか数える。私は指の感覚が鈍いかも。何度も何度も指でなぞって、わかった気になったが自信はない。
踊さんの演奏は相変わらず素晴らしかったが、私は初めての広瀬さんのワークショップにすっかり気をとられてしまった。見えないということはこういうことかと実感させてくれたとても有意義なひとときでした。