調布デイジー(代表 牧野綾さん)主催の「読みたくても読めない君へ〜ディスレクシアや発達障害の子どもへマルチメディアDAISYを〜」に参加しました。中でも岐阜特別支援学校の神山忠先生のお話は、何度伺っても、感動するばかりです。
視覚に障害があるわけでも、知的に遅れがあるわけでもないのに、読み書きに困難を抱え、一番、感受性の強い学齢期に「自分は、勉強ができない子」と認めざるを得ない毎日を過ごしたとのこと。ある時、「たいことばちをもってきて」と書かれたメモを渡され、「鯛、言葉、血をもってきて」と理解して、お使いを果たすことができず、叱られたエピソードを話されました。筆舌では尽くせないご苦労を、なさったようです。
やがて、自衛隊に入隊。隊での様々な連絡や学習は、機密という観点からか、ペーパーレスで口移しのことが多く、また、実践・実習がほとんど。学校時代と違い、極度の緊張を強いられることもなく、伸び伸びできた時代だったとか。やがて、ご自分の経験を生かし、同じような障害を持つ子どもたちに寄り添いたいと、教員免許を取得、現在にいたっていらっしゃいます。全員揃って前進するのもありだが、一人一人の個性を認め、個々の成長を見守りたいと、おっしゃっていました。また、代表の牧野さんの親としての立場のお話も、胸を打ちます。
ディスレクシアとわかるまで、字を読むのが、苦手なお子さんに対して、何度も書き取らせ、宿題も付きっきりで、何時間もかかった。自分が本が好きだったので、子どもにも、何とかしてその楽しさを教えてあげたかったと、話していました。振り返ってお子さんが、「あの時のお母さんは、鬼のようだった」と、言われたそうです。この読めないことへのサポートとして、牧野さんたちは、マルチメディアDAISY教科書を主に、作っています。今、小1の国語の教科書を作っているそうで、何かお手伝いができないかなと思っています。
ところで前回、伊藤忠記念財団の「障害のある子どもたちのための読書サポート講座」のことを書きました。それを読んでくださった方から、嬉しいメールをいただきました。了解を得て、ご紹介いたします。
「発達障害のこと、大変に勉強になりました。来春、古希を迎えますが、放送大学で、心理学を学んでいます。ご本人たちの実体験を読み、とても参考になりました。会の皆さまが、音訳活動を起点として、実は、広く人間の問題、延べては社会問題にも、取り組んでいられることを知り、感心・感動しました」と。
大変ありがたい、身に余るお言葉で、励みになります。このなかに、私たち音訳者が、今後目指すべきことが、示唆されているように感じました。皆さまは、いかがでしょうか。