高知で、もう一つ大切な用事がありました。
私たちの「テキスト化プロジェクト」に、コンピュータの読み上げソフトである、PCーTalkerを無償提供してくれている、(株)高知システム開発さんにご挨拶に伺うことです。
何事もすべて持ち出し状態の音訳ボランティアにとって、こうした形で企業のみなさんが、ご支援くださることは、大変にありがたいことです。
晴眼者である音訳ボランティアが、校正用にこのソフトを使い、より精度の高いテキストファイルを、利用者に提供しようと頑張っています。
もしかしたら、高知システムさんでは、こんなふうな使われ方があるということは、想定外だったかもしれません。
実際にこのソフトを使い作業をしているメンバーの感想やらを、まとめたものをお渡ししました。
ご担当の宇賀さんはじめみなさま、大変お世話になりました。ありがとうございます。
さて、テキスト化プロジェクト立ち上げのきっかけとなった市内在住の藤原さん、北九州から駆けつけたこの活動の牽引力となっている大木さんと再会しました。
まさに、キーパーソンの集合でしょうか。
そしてもう一人、ぜひ直接お礼をと、ホテルまで訪ねてくださったのが、市内の学生さんのお母さんです。
「みなさんのおかげで、短大の卒業が決りました」と。
ご本人とお母さんが勝ち取ったものです。
10数年前、有名私立高校に入学。サッカー部にも入りました。
試合のために遠征した地での落雷事故で、手足が動かなくなり、車椅子生活に、そして視力も、失います。「こんなになっても勉強がしたい、英語も勉強したい、と言うのです」とお母さん。
今は努力の結果、指でキーボードを打てるようになりました。
「学校は、なかなか難しいところです。今は、言いたいことがあっても、なるべく我慢しています。うちの子が卒業する時には、次に続く障害者のために、言います」と笑いながら、おっしゃる。母は、強しです。エールを送ります。
学校や行政、大きな組織はなかなか動きませんし、動きだすまでに、時間がかかります。今、目の前で困っている人たちへのサポートが、十分ではありません。私たちボランティアは、こうした社会の隙間を埋める存在だと思います。
このテキスト化プロジェクトには、今続々と依頼がきています。
速報性が命のこの活動に支障がきたさないように、今活動してくれているメンバーのスキルアップと新たなメンバーも育てなければなりません。
ごくごく一部の図書館ですが、取り組みへの歩みが少しずつ、始まっています。
地方拠点が、増えることは、大歓迎です。
大阪の日本ライトハウスでは、すでに4月から、そして東京の日本点字図書館でも動きがあるようです。
こういう歴史のある大きなところが、動きだせば、鬼に金棒でしょう。願わくはこの先、私たちの手に負えない量の依頼があった時、それぞれの拠点に振る、その逆があっても、当然です。
早くそういう連携ができるようになるといいなあと単純に考えています。
何はさておき、学びの途上にある児童・生徒・学生さんをみんなで、支えようではありませんか。
これからも、この「テキスト化」へのご支援・ご協力を切にお願い申しあげます。