今年30年を迎えた「なごや会(公共図書館で働く視覚障害職員の会)」の総会を含めた二日間にわたるイベントが開かれました。久し振りに、集まりやすい都内での開催です。
初日は、「誰もが使える未来の図書館~公共図書館に障害者サービスがなくなる日を考える」をテーマに講演が2題、事例発表が3題。パネルディスカッション「誰もが使えることを当たり前にするために」と続きました。
講演ではまず、なごや会代表の服部さんから、「なごや会30年のあゆみと障害者サービスの到達点」という話がありました。
もう一つの講演は、読書工房の成松さんで、「地域で暮らすさまざまな立場の人たちが読書でつながるコミュニティをつくるために」についてのお話でした。
服部さんの講演の中で、なごや会の雇用運動のあゆみが印象的でした。
公共図書館は視覚障害者が活躍できる職場だということをアピール。自治体への採用運動を展開。大阪府、京都府、東京都、滋賀県、横浜市、名古屋市で成果があがりました。
また国会図書館への運動は、それまで全く採用に向けた動きがなかったところで、雇用率の「水増し問題」が発覚。それを受け、視覚障害職員採用に関する要望書を提出。国会図書館側が、平成31年度、点字による受験を認めることを発表。選考採用の実施と続きました。大阪の杉田さんが係長級で、合格しました。大変に喜ばしいことです。
成松さんからの提案は、「地域で暮らすさまざまな立場の人たちが読書でつながるコミュニティをつくるために」でした。
成松さんは、学生のころからボランティアで視覚障害者読書権保障協議会(視読協)等の運動に関わってこられた経緯があります。常にぶれない視点を持っている方です。
事例発表では、スローコミュニケーションの打浪文子さんが、「わかりやすい文章 わかちあう文化」のテーマで発表。知的障害の人は図書館を利用していない。つまり行かない。利用に関するルールがわからないということでした。
図書館はいろんな人が来ることを前提とした「わかりやすさ」へのニーズにどう対応するか。図書館員に向けた研修も行っています。
ブックスタートの大津智美さんからは、「ブックスタート~すべての親子に絵本のひとときを」というお話。0歳児健診などの機会に絵本を開く楽しい「体験」と「絵本」をセットでプレゼントする活動。行政と市民が連携して行う自治体の事業で、全国の6割で実施されています。
最後は、杉田さんから「電子書籍のアクセシビリティの現状と公共図書館として期待すること」が話されました。
今回も、外部を巻き込んだ企画でした。なごや会メンバーより、一般の参加者が多かった初日でした。
2日目は、総会に続き、「読書バリアフリー法を絵に描いた餅にしないために」を宇野先生から、講演していただきました。
開催日時(曜日も含め)なのか、会場(今回は久々の東京)なのか、内容なのか、肝心のなごや会会員の参加が少なかったのが、残念でした。
事務局から、鶴岡さんと松本さん、新宿の南部さんにお手伝いをお願いしました。
勉強させていただいた2日間でした。