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チャリティーコンサートのお知らせ

奈良や京都など、関西方面のみなさまへのイベント情報です。
2019年の音ボラネット総会にお招き予定の安田知博さんのコンサートです。
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全盲で音訳の指導者として活動しながら、尺八奏者としても活躍されている安田知博(やすだ ともひろ)さんのチャリティーコンサートのお知らせです。

~~出会い、絆、そして未来へ~~

日時: 1月26日(土) 2時開場、2時半開演、4時半終了予定。
会場:奈良市北部会館市民文化ホール(近鉄京都線 高野原駅から歩いてすぐ)

出演: 安田知博(尺八)、石田綾(ピアノ)、澤田理絵(ソプラノ)
入場料: 2千円(全席自由)

*小さなお子様や介助者のご観覧については、個別にご相談させていただきます

お申込み・お問い合わせ: 安田知博(090-1081-4805) yasudatomohiro@gmail.com

※ コンサートの収益の一部を、目が不自由な人たちなどのために録音図書を制作している、奈良県内の音訳グループの皆さんにお送りします。

※ 翌日の27日には、上記の3人で、京都市内のカフェでライブをします。会場の「キルシェ」は、四条河原町交差点の南東角から、南へ2分ほど歩いた「招徳ビル」の3階です。阪急や京阪の駅から歩いてすぐの便利な場所です。
食事もスイーツもアルコールも充実しています。昼の部が3時から、夜は7時からです。2千円です。こちらも、どうぞよろしくお願いいたします。

No.459 「障害者週間」連続セミナー

みなさま、穏やかなお正月を過ごされたことと思います。
本年もご支援・ご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。

さて、暮れには会報「音ボラネット通信35号」をお送りしました。
内外から労いと感謝の言葉を、たくさん届けていただきました。
中でも、長崎のある会員さんは、参加できなかったシンポジウムの報告記事を貪り読んでいます、と。ありがたいです。励まされます。

ところで昨年の12月に日本障害者リハビリテーション協会主催の連続セミナー「読み書き障害児の教育支援―デイジー教科書の取り組みと今後の課題ー」がありました。

同協会では、平成20年度から読みに困難を抱える発達障害などの児童・生徒にデイジー教科書を製作・提供してきました。当初80名だった利用者は、29年度8000名を超えたそうです。

しかし、まだまだ一部に過ぎず更なる普及を目指し、各方面からの報告がありました。

厚労省からは、発達障害支援の取り組み、文科省は、音声教材の取り組みについて。
マルチメディアDAISY教材の導入・活用については、大阪教育大の金森先生。
デイジー教科書の製作について―理数系教科の製作における課題と今後ーは、サイエンス・アクセシビリティ・ネットの鈴木先生からお話がありました。

発達障害のなかに、トゥレット症候群とか吃音(症)なども含まれることを厚労省からの報告で初めて知りました。

さて、DAISY教材は、文科省から委託を受けたボランティア団体等が製作し、必要な児童・生徒に無償で提供されています。
担っているのは、ごく一部のボランティア団体です。

早期発見、早期支援と言われていましたが、保護者自身、わが子が学習障害だとは気づかない例も多く、学校現場も含め、社会的認知度もまだまだです。
文科省の調査によれば、DAISY教科書の利用率は、必要な子どものうち約3%のみ、通常学級の2.4%(24万人)と推計。
DAISY図書と同じようにここでも、ぜんぜん足りていないという現状です。
一人ひとり特徴が違いますから、一律にはいかない。難しいですね。
でも読み書きが苦手だから、勉強ができないというわけではありません。
適切な支援が受けられれば、可能性は広がるわけで、何とか支援の輪を広げなければなりません。

だからといって、どなたかが、製作ボランティアを増やしていかなければならないと、そして別の方は、製作ソフトが進化して、簡単に作れるようになりましたと言われていました。しかし、無償のボランティアが簡単に増えるとは思いません。

そして、専門家のみなさんには、簡単に製作できるとしても、一般には、マルチメディアDAISYの製作はまだまだハードルが高い、そう思うのは、私だけでしょうか。

でも困っている子どもたちのために、手をこまねいているわけにはいきません。
みんなで知恵を出しあいましょう。

N0.458 公共図書館で働く視覚障害職員の会(なごや会) 例会

今年の2泊3日の「なごや会」例会は、7月に高知市内にオープンした「オーテピア」で開催されました。

飛行機組と鉄道組がそれぞれに高知入りし、初日の総会、2日目の館内見学、同じく午後からの講演とパネルディスカッション、3日目の高知城や日曜市のミニ観光まで、「オーテピア高知声と点字の図書館」の坂本館長はじめ職員の皆さんが全面的にサポートしてくださいました。

私たち晴眼者も数名おりましたが、食事どころも含め、何から何までお世話になってしまいました。
本当にありがとうございました。

さて、オーテピアは木材をふんだんに使った和のイメージの建物で、中には土佐和紙が使われていたりで、柔らかい落ち着いた感じです。

日が直接、書架に当たらないように柱の間隔が違います。夏至とか冬至とか意識されています。

また人の歩く空間は、天井が高く、椅子などに座れるスペースは低くなっています。細かい所にも工夫が凝らされています。

1Fが「オーテピア高知声と点字の図書館」で、2~4Fは、「オーテピア高知図書館(県立図書館と市民図書館)、5Fは、プラネタリウムを含む「高知みらい科学館」です。

3つの施設からなる複合施設です。

もはや図書館は単独では建たないと言われますが、県知事と市長との話し合いのなかで生まれた構想だそうです。合築という他に例をみない形が誕生しました。

オーテピア高知声と点字図書館は、1Fエントランス正面にあります。大活字本やLLブック、点字や録音図書等々のバリアフリー図書が低い棚で目立つように紹介されています。

更には奥のボランティアスペースでは、録音室が4つ、編集室が2つと校正室があります。

そして建物の外には、りっぱな補助犬トイレまで設置されています。松井さんの盲導犬ジョバンニちゃんに使い心地を聞いてみたかったです。

誰でもが利用しやすい、楽しめる、至れり尽くせりの図書館で高知の皆さんが羨ましい。

ところで、なごや会主催の「いま高知から~見えない・見えにくい人への情報提供を考える~」講演とパネルディスカッションは、四国各地から、図書館職員はもちろん視覚障害者も多く参加。熱心な質問も多く、中身の濃いものでした。

高知朗読奉仕者友の会の松田光代会長も「ボランティアの立場から未来を考える」として登壇。心強い限りでした。

地方都市でこのような会が開かれる意義は大きいと思います。

障害者サービスのエキスパートであり、それぞれに高い専門知識を持っている「なごや会」のみなさんには、いつも教えていただくばかりです。

参加の図書館関係者もたくさんの刺激を受けたのではないでしょうか。

2019年は、なごや会結成30周年記念イベントとして、東京or神奈川で開催予定です。
たくさんの参加をお待ちしております。

DAISY図書製作の依頼

音訳の依頼がきました。地域の図書館で断られたそうです。
書名 ザ・マジック    著者  ロンダ・バーン     出版社  角川書店
ページ数  317
希望納期  なるべく早めを希望します。
デイジー図書(CD)にてお願いします。

依頼者からのメッセージです。
受託してくださる方、事務局までご連絡ください。

『私は視覚障害者では無いのですが、現在精神疾患を患い、仕事を休職中で、文字を読む、書くのが非常に辛い、という症状があり、困っております。メールを書いたりするのも一苦労で、短文ならかろうじて書けますが、長文のメールになると、音声入力や家族の代筆に頼っています。
読みたい本があるのですが、本を読めないため、音訳をお願いできませんでしょうか?』


No.457 葛飾音訳ボランティアの会

音ボラネット副代表の鶴岡幸子さん率いる「葛飾音訳ボランティアの会」が創立30周年を迎えました。

私も寄稿させていただいた記念誌もできました。

そして、11月には記念講演会が開かれました。

千葉県立西部図書館の松井進さんの後、私にまで講演の依頼がありました。

「視覚障害者の読書の現状と課題~今後の音訳者に求められる知識と技能~」という、松井さんの講演だけで十二分なのにと思いながらも、鶴岡さんの気遣いに感謝して引き受けました。しかし、やりづらかった。

さて、「葛飾音訳ボランティアの会」のすごいところは、図書館とだけではなく、社会福祉協議会や行政とも、非常に友好的なお付き合いをしているということです。
常に臆することなく意見を言い、提案をする。例えば以前、区報の音声版製作は、入札によるもので地域のボランティアには、手の届かないものだったそうです。それを鶴岡会長が、区の広報課や契約課に何度も掛け合い結果、広報や区議会だより等を依頼されるまでになりました。強固な信頼関係を結んでいます。
ひとえに、鶴岡会長の人間力でしょう。

そしてまた、新しいことに挑戦するというチャレンジ精神があります。

当会のシンポジウム「マンガを読んでみよう」をきっかけに、地元作家の「こちら葛飾区亀有公園前派出所」の音訳を始め継続しているのは、ここのグループだけではないでしょうか。その上、利用者はもちろん、出版社の担当の方からも絶賛されるほどの完成度の高いものになっています。

さまざま課題も多い音訳界にあって、ただただ音訳だけしているというのではなく、音訳者を取り巻く回りのすべての人、すべてのことを味方にしていく努力が大切になってくるのではないでしょうか。

図書館や行政との付き合い方に悩んでいるグループがたくさんあります。鶴岡会長には、出し惜しみせず、その辺の経験をぜひ、みんなに話してほしいと思います。

よろしくお願いします。

No.456 学校公開

私たちの活動拠点である飯田橋のボランティアセンターから、目と鼻の先にあるのが、東京都立文京盲学校です。明るくバイタリティー溢れる桑山校長先生から、さまざまにご案内をいただきます。

今回は、学校公開です。当事務局から、鶴岡さん、松本さんと三人で伺いました。

学校長の挨拶から始まる全体会では、パワポを使い、学校の様子などを説明していただきました。

更に桑山校長先生の発案で着任以来、学校便り「昴 すばる」を出し続け、情報発信にも力をいれています。

公開授業では、普通科と専攻科の各教室を回り、寄宿舎まで見学しました。

本年創立110周年を迎えた文京盲は、高等部単独の盲学校ということですが、全国67校の盲学校のうち、2校のみだそうです。現在普通科33名、専攻科37名の在籍数になっています。

普通科では講座制をとっていて、できる、わかる授業の積み重ねの上に、一人ひとりに合わせた進路指導を行っています。

理療科では20~60歳代の中途失明の方が多く、講義と実技を行っています。

職業的自立を目標とし、あん摩マッサージ指圧師の国家試験の受験を目指しているためか、より真剣に学んでいるという印象が強かったです。

普通科の音楽の時間では、5~6人の生徒が楽しそうに和太鼓を叩いていました。先生と1対1の国語の授業は、「セロひきのゴーシュ」を学んでいました。
それぞれの視力に合わせた補助具を使っています。

寄宿舎見学では、特に1DKの自立のための部屋があることが、いいなあと思いました。入り口には、「セールスお断り」の札が下がっていました。
いつか独り暮らしをする生徒には、心強い経験になることでしょう。

全体的に、先生も生徒も生き生きしているのが印象的でした。
みなさんも、機会がありましたら、ぜひ学校公開に参加してみてください。

No.455 県録連研修

神奈川県録音奉仕団(会)連絡協議会の橋爪会長から、講演依頼がありました。

県録連といえば元会長の川上典子さんは、音ボラネット立ち上げ前の「音訳ボランティア全国大会」の2年前、準備会の段階から、共に頑張ってきた貴重な事務局の一員です。そういう古くからご縁のある県録連です。

会場の神奈川県ライトセンターも、姉崎さんが在籍していらした頃に、何度かお邪魔した所でもあります。
二つ返事でお引き受けしました。

県内をとりまとめている貴重なネットワークですが、残念なことに横浜市内のグループは入っていません。当日はたくさんのみなさんが集ってこられました。

事前に質問事項を寄せてくれていましたので、それらを中心に話しました。

音ボラネットの存在は知っていても、活動内容までは知らなかったという人が多く、こちらの発信不足かと反省しました。

団体会員は、総会はじめシンポジウム等、参加人数が制限されますし、情報満載の会報も活動拠点のどこかに、吊り下げられたまま、という話も聞きます。なかなか情報が行き渡りません。

さて先日、感想を送ってくれました。

「音ボラネットが素晴らしい活動をしていることが、よくわかった。音訳者が心がけること、質を高めていかなければならないことを、改めて感じた。」

「読者の要望に応え、各自が学び、努力してレベルアップすることや、サピエへのアップなどの必要性を感じた。」等々。

これを機会にネットワークをより強固なものにし、情報交換などできればと思います。

これから外せない著作権についての勉強会がありましたら、気軽にお声がけください。私も11月から神奈川県民となりましたので、よろしくお願いします。

ありがとうございました。

No.454 全国図書館大会

今年もはや、12月。長らく「藤田が行く」更新できずにおりました。

古い情報になりますが、順次ご報告します。

10月に全国図書館大会東京大会に参加しました。

いつもは、2日目の分科会、障害者サービスのみの参加でしたが、今年は、日本図書館協会の監事でもある中山弁護士のたっての薦めで、初日の開会式・全体会にも参加しました。

シンポジウムが大変おもしろく、図書館の可能性にワクワクして聞き入りました。

「市民と共に成長する図書館ー図書館専門職の力ー」

4人のパネリストは、実に興味深い活動をしている方々です。
なかでも、アメリカにおける「地域を変革する図書館」の活動についての豊田恭子さんの報告。

アメリカ図書館協会(ALA)の問題意識は、図書館は今、「何を持っているか」ではなく、「何をしているか」が問われているとし、・人に対して  ・地域に対して  ・人の一生にわたる学びに対してその役目を果たすために、図書館は変わらなければならないと。

そして、図書館の可能性に注目するコンサルタントが登場。

「地域変革に今ほど図書館が必要とされている時代はない」とし、図書館を地域変革のリーダーにする実証実験が始まります。

図書館員は中立的で様々な利害関係者をつなげることができる等々、2年間の実験結果としてALAは、図書館員が地域をより理解し、地域により深く関与すればするほど、地域もまた、図書館と図書館員の役割を理解するなど、図書館=ストロングコミュニティであり、図書館は地域の情報拠点から地域作りの拠点へ進化できると。

更に図書館員は地域のファシリテーターに、と結論付けている面白い内容でした。

アメリカだからと言ってしまえば、それまでですが、発想の転換は重要で、柔軟な対応も大切だと思いました。

もう一つ、京都府立図書館勤務時代の是住久美子さんの「図書館員が地域に飛び出してみたらわかったこと」でした。

府立図書館で働く司書の自主学習グループ「ししょまろはん」を結成。

「京都が出てくる本のデータ」等のオープンデータを作成し公開、スマホのアプリ化でデータセット部門の最優秀賞を受章。

ウィキペィデアタウン、その地域にある文化財や観光名所などの町の情報をネット上の「ウィキペィデア」に掲載し、わが街の魅力を世界に発信。

2013年に横浜市で開催。2014年から京都でも開催、「ししょまろはん」も参加。

図書館のことが知られていない。図書館に期待してくれる人がたくさんいるし、できる。地域へ出ていき図書館のニーズを掘り起こし、図書館の可能性を開く。

図書館の外でも司書としての仕事はできる。
少子化、縮小社会、地域の危機のなかにあって、多様な人たちと協働しながら地域作りを進める必要がある。

図書館の役割は重要で一人の図書館員として町にどう貢献していくか、というものでした。

特にこの二人の女性の取り組みはとても、刺激的で、図書館とは、という根源的な問いに対する一つの答えかと思いました。

初日に参加してとても得した気分になりました。