音ボラネット事務局 のすべての投稿

No.412  瞽女文化体験モニターツアー

高田(新潟県上越市)に行ってきました。

昨年、都内両国で開かれた「瞽女の魅力と広瀬浩二郎の仕事」に参加し、「瞽女文化体験モニターツアー」があることを知ったのが、きっかけでした。

一日目先ずは、高田瞽女ゆかりの天林寺を訪問。
弁財天が瞽女の守り本尊として信仰され、年一回の妙音講には、どんなに遠くからでも必ず出席し、瞽女唄を奉納したと、ご住職から聞きました。

昼食のあとは、「高田瞽女の門付け再現」に参加。
門付けとは、家々を回り挨拶がわりに戸口で短い唄を演奏することです。
高田の瞽女唄を受け継ぐ月岡祐紀子さんが、紺絣に丸がさ、手ぬぐい頬かむり角巻姿で、先頭に立ち、瞽女唄と三味線を奏でながら、周辺を練り歩きました。

わたしたちツアー参加者も、女性は角巻、男性はとんび・マントと呼ばれる防寒具をはおり、雁木の町歩きを体験。

その後、「ごぜミュージアム高田」で月岡さんの瞽女唄を聞きました。

続いては郊外に移動し、茅葺きの古民家「ゆったりの家」のいろり端で瞽女宿ライブです。長岡瞽女唄を継承する横川恵子さんの演奏を聞きました。

これで私は、最後の瞽女と呼ばれた、長岡瞽女の小林ハルさんに直接教えを受けた、萱森直子さんを含め三人の演奏を聞いたことになります。

当然でしょうが、三人三様のごぜ唄でした。

翌日は、地元の方から瞽女さんの思い出話を聞きました。

昔、庄屋さんで瞽女宿をしていたころの話は、とても興味深いものでした。

娯楽のない時代の楽しみで、瞽女さんは大切にされていたとか。

このあとは、復活した地域の小正月の行事です。
五穀豊穣を願い、集落の若者や子どもたちが馬に扮し、馬の跳び跳ねるさまをまねる「馬」という神事を見学。まゆ玉作りも体験しました。

ところで、参加者のなかで特に印象に残ったお二人との交流が嬉しかったです。

瞽女の生き方に深い感銘を受けた画家の斎藤真一は、たくさんの瞽女の絵を残しています。
その斎藤作品を長年にわたり集め、最後には、ゆかりの上越市に寄贈した池田敏章さんとお話ができ感激しました。

また、ベラルーシからの留学生は、来日して2年目。流暢な日本語で会話が弾みました。
広瀬浩二郎さんの教え子でもありました。

やはりその地に足を運び、その空気に触れることは、大事なことだと思います。貴重な二日間でした。

江戸時代から昭和初期まで、三味線を携え農・山村を巡る目の不自由な女性たちの姿は、日本全国で見られたそうです。
瞽女と呼ばれた女旅芸人です。

盲学校も点字もない時代から、多くの盲目の女性が幼くして親元を離れ、瞽女の親方に弟子入りしました。
これは、視覚障害者の自活の原点だったのではと思いました。

特に高田瞽女の文化を保存・発信する会のみなさま、大変お世話になりました。ありがとうございました。

パイプオルガン演奏会のお誘い

テキスト化プロジェクトの利用者の一人、糸野海生さんがパイプオルガンの演奏会に登場します。
彼の在学している国際キリスト教大学(以後ICU)のオルガン講座終了生のみなさんによる演奏会です。
ICUの礼拝堂の大きなパイプオルガンの生演奏を聞くチャンスです。
日時  2017年3月4日(土) 14時開演
場所  大学礼拝堂
ICUへのアクセスはこちらをご参照ください
http://www.icu.ac.jp/about/access/index.html

 

 

No.411 テキスト化プロジェクト

早いもので2017年も1ヶ月が過ぎようとしています。
今年はネットワーク設立10周年の節目の総会の年でもあります。

またみなさまにご協力等お願いすることがあると思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。

ところで暮れもお正月もなく利用者のみなさんからの依頼に、さまざまご苦労してくださっていたみなさまに、この場を借りて心からお礼を申し上げます。
特にテキスト化プロジェクトに関わるみなさまには、引きも切らずの作業が続いておりました。そして今も続いています。

今依頼があるもののなかに、中国医学書があります。書名を聞いただけで、私は頭が痛くなります。専門書中の専門書というべきものでしょうか。

ところで論文を書くような方は、多くの参考文献等を読み込まなくてはなりません。
先ず、どんな文献等があるのか。今はネット上で関連のキーワードを入れると、たくさんのものが上がってきます。
ですが、それが必ずしも探しているものなのかの判断は難しい。

私たちなら書店や図書館で、パラパラめくるだけで、それが自分が必要としているものかどうか、すぐわかります。

先日ある利用者が、これはと思うものが見つかったので購入してみると、まるで関係のないビジネス書でがっかりしたと。
選書の段階で困難を抱えているわけです。

だからせめて、私たちのところに依頼がきた時点で、一日も早い納品をと心一つにして頑張っています。

ところで、このプロジェクトのメンバーのほとんどは、困っている人がいるならと、飛び込んできてくれた人たちです。

Drop boxとは何?から始まり、その都度混乱が生じたりしながらも、何人かのベテランのみなさんがリーダーシップをとり、新人さんを励ましアドバイスしながら、それぞれ知恵をだしあい、新しい工夫が生まれ、おかげさまで今日も進んでいます。

そういえば、国際基督教大学の4年生になるあの、糸野海生くんからも昨年末あたりから、将来を見据えた準備のためでしょうか。まとまった依頼がきていました。

いつも同じようなメンバーに負担がかかるのではなく初心者もぜひにと、一人でも多くの参加をお願いしました。

そんななか、強力な助っ人が現れました。
山口県下松市でいつも孤軍奮闘してくれていた北川さんの仲間が数人名乗りをあげてくれたのです。もちろん即戦力です。
嬉しいかぎりです。

みなさんのおかげですでに、5冊の納品が完了しました。

海生くんのお母さんから、「見ただけで卒倒しそうな専門書が1月中に届きました。どれだけの時間と知恵を出してくださったかと思うと感謝にたえません」と。

不特定多数のための音訳等ももちろん大切ですが、相手が見える、フィードバックがあるというのは、本当に励みになりますね。

息子や孫の感覚で海生くんを応援してくれているみなさんがいて、微笑ましいかぎりです。

引き続きよろしくお願いします。

日本ライトハウス主催 セミナー のご案内

社会福祉法人日本ライトハウス情報文化センター主催のセミナー
「視覚障害児童生徒のための音訳教材データベース~ 今後の活用と専門音訳技術への期待 ~」についてのご案内です。

開催ご案内はこちらです。
2017年3月11日_日ラセミナー開催のご案内

詳細はホームページをご覧下さい
http://www.lighthouse.or.jp/iccb/research/index_research/hyme/seminar20170311/

 

 

No.410 音声教材の有効性と今後の課題

毎年12月3日~9日までの一週間は、障害者週間として設定されています。障害のある人もない人も共に生きる社会に向けて今年も、様々な取り組み、発表がありました。

その中で、日本リハビリテーション協会主催の「発達障害児教育への支援~音声教材の有効性と今後の課題について~」に参加しました。

厚労省発達障害対策専門官日詰正文さん、文科省特別支援教育調査官田中裕一さん、日本DAISYコンソーシアム河村宏さん、NPO法人エッジ藤堂栄子さん、岐阜特別支援学校神山忠先生からお話がありました。

音声教材とは、発達障害等により通常の教科書では、文字や図形等の認識に困難を抱える児童・生徒に向けた教材です。
パソコンやタブレット等の端末を活用して学習するものです。

教科書バリアフリー法に基づき、教科書発行者から提供を受けたデジタルデータを活用し、主にボランティア団体が製作しています。

文科省や厚労省でも、調査・研究を重ね年々、支援が厚くなっているのでしょうが、大事な大事な音声教科書の製作がいつまでたってもボランティア頼みなのは、どうしたものでしょうか。
いつも疑問に思います。

さて私のような立場の者にはやはり、当事者の方のお話が一番分かりやすい。
当事者であり保護者であり支援者であるエッジの藤堂さん。彼女は外国語の通訳には、高い能力を発揮しているものの、翻訳は苦手とのこと。また、建築デザイナーとして活躍中の子息の高直さんは、人前で堂々とプレゼンする姿からは、どんな障害かと思うが、文字を読むということになると、急にたどたどしい読みになってしまう。

つまりは、読みの速度、流暢さ、正確さに困難があるということ。
それに対して藤堂さんは、使いたい子が使いたい時、使えることが大切と。

もうひと方は、神山先生。「音声教科書」の潜在的ニーズが高い現場での実戦を紹介してくれました。
この先生の当事者としてのお話しは、いつも大変分かりやすいです。

2017年6月4~5日に開催予定の当会の10周年記念総会にお呼びしているので、その時じっくりお聞きください。

当事者も支援者も知らない「音声教科書」について、私たちもしっかり学び、情報を発信していけるようになりたいものです。

視覚障害者による視覚障害者のドラマ(NHK第2ラジオ)のお知らせ

元旦夜にラジオドラマはいかがでしょう。
音ボラホームページや「藤田が行く!!」でもご紹介しています
演劇結社 ばっかりばっかり の皆さんが出演されます。

 ★総合テレビ「どーも、NHK」でも紹介!されます。
2016年12月18日(日)
午前11時20分~11時54分(このうち10分程度)

開幕!ナビラジシアター  視覚障害ナビ・ラジオ新春スペシャル
「ブラインド探偵(アイ)   見えない力 白球の真実」
新年1月1日(日)午後7時30分放送!

NHKでは、1964年以来、半世紀にわたって視覚障害者向けの番組を放送してきました。これまで出演した皆さんの力を結集し、番組史上初の「視覚障害者による視覚障害者のためのラジオドラマ」を制作します!原作は全盲の作家・米田京さんの「ブラインド探偵(アイ)」。脚本・キャスト・挿入曲なども、視覚障害者とその関係者たちが担います。制作・技術スタッフとキャストのチームワークから生まれるラジオドラマです。乞う、ご期待!

 

出演: 長村 憲治 美月 めぐみ 鈴木 大輔 こぶし のぶゆき

澤村 祐司 板橋 かずゆき 関場 理生 渡井 真奈 今野 正隆

音響デザイン:林 幸夫  音声:若林 政人  制作: 遠田 恵子 / 海老沢 真 / 村井 晶子

 

No.409 朗読会

2年ぶりにすみだ録音グループ「声」の朗読会へ。
月3回の広報の音訳が主な、地域密着型のグループです。
半年前から準備をしてきたそうです。

駅の改札で、案内ボードを持った人。そして階段を上がった先、会場前にも立っています。手厚い出迎えです。

会場のすみだ女性センター3階ホールは満員でした。毎年必ず利用者用の席が用意されています。
エレベーターでご一緒した方は、毎年楽しみにしていると。また、お隣に座った方は、もう少し若かったら私もやってみたいと。
利用者や地域のみなさんが、楽しみにしている朗読会なんだなあと思いました。

トップバッターは、ベテラン二人による芥川龍之介の「鼻」。
続いて小川糸「こーちゃんのみそ汁」、前の席の男性が目頭を押さえていました。
次は、清水義範「喋るな」はコミカルな作品で会場は、笑いの渦。新人さんの登竜門のようでした。
佐野洋子「ヨーコさんの”言葉”」
最後は、宮部みゆき「紙吹雪」、ベテラン三人が唯一の時代物をしっとりと聞かせてくれました。

しみじみ選書が大切。作品に合った読み手選びも大切だと感じました。総じてみなさんお上手です。

欲を言えば、もう少し間の取り方に工夫があってもいいかなという作品もありましたが、楽しませていただきました。

全員が舞台にあがれるわけではないようですが、役割分担でお互いに会を盛り上げている様子は、見ていてさわやかでした。
みなさま、お疲れさまでした。ありがとうございました。

音声ガイド付き映画会のお知らせ

タイトル:『ちょき』

≪小さな街の小さな美容室。盲目の少女と美容師のおじさんの、ていねいで、いとおしい、小さな恋の話。≫

日時:12月15日(木) 20:30~22:30 (上映時間98分・トークショー30分) 20:30~22:00映画上映 22:10~トークショー

映画鑑賞のみをご希望の方は、お帰りの際まとめてのご案内にはなりますが、JR渋谷駅まで送迎を予定しています(現在、手配中です)。
料金:一般 前売:\1,300・当日:\1,800/ハンディキャップ割引:¥1,100(付き添いの方を含め2名様まで)

劇場:渋谷HUMAXシネマ(JR山手線渋谷駅・ハチ公口から5分)
出演:増田璃子・吉沢悠・藤井武美・和泉ちぬ・広澤草・芳本美代子・小松政夫
監督:金井純一

【日盲連ホームページで詳細情報を公開中!!】
ストーリー・会場など、詳細は日盲連ホームページで!

締め切り日:12月9日)」でご確認下さい。
URL http://nichimou.org/notice/161118-jouhou-1/

【お申し込み受付中です!!】
現在、日盲連情報部では、この「映画『ちょき』音声ガイド付き上映会」の鑑賞希望者を募っています。
お申し込みの人数によっては、団体割引料金でのご鑑賞が可能です。なお、締め切りは12月9日(金)となります。
対象は、視覚障害者・晴眼者を問いません。ご家族・お知り合いやボランティアさんなどなど、どなたでもお申し込み頂けます。
音声ガイドを聴くためにはラジオが必要です。ラジオの貸し出しにつきましても、
こちらでお受けします。

以上です