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N0.346 講演会

9月の下旬あたりに、当方のホームページに「講演会開催のお知らせ」を載せてほしいと、NPO法人中野区視覚障害者福祉協会・りんくる中野の方から、メールをいただきました。

問題がありませんので、情報をアップすることに。「日本点字図書館館長に聞く  デジタル化以降の取り組みと展望」とありました。興味をそそられましたので、早速申し込みをしました。

当日は生憎の冷たい雨の一日でしたが、事務局の大田と参加しました。天野館長のまとまったお話を伺うのは、ずいぶんと久しぶりです。

最もご本人も、館長になって、会議や事務処理に追われていると。

「今までの日点の使命と役割は視覚障害者限定だったが、今後はその他の障害者にもサービスを広げていかなければならない。今までのやり方、有り様では間に合わない」

更に、すでに日点では、マルチメディアDAISYやテキストDAISYの製作が進行中ですが、
「機械でできることは機械に任せる。人間にしかできないものは、人間がやる」、「小説やエッセイは、合成音声がいい、ビジュアル系のものは、人間がいい」というようなお話を、とても興味深く伺いました。

ここにきて、シナノケンシ(株)から12月末には、マルチメディアDAISYやテキストDAISY製作ソフトが発売されるとあって、この世界もまた、大きく様変わりする予感がします。

「全体の要求、ニーズに対応するためには、日点だけでは完結できない」という天野さんの一言が、耳に残りました。
そして、「日点は、いつも一等賞でありたい」と。天下?の日点館長の心意気を感じました。

私たちのような単なるボランティア団体では、とても太刀打ちできませんが、できること、例えばコーディネートの立場ということは、これからも大切にしていきたいと思います。

「学習障害のお子さんのために、理数のマルチメディアDAISY教科書の提供を行っているが、これは音ボラの集まりに、職員が参加したのがきっかけ」とおっしゃっていました。

ひとつの出会い、きっかけが、子どもたちの学びを支えている。
嬉しいことです。

No.345 嬉しい偶然

こんな偶然ってあるの?という経験をしました。

秋の深まりを感じるある朝、年甲斐もなく階段を駆け上がって、飛び乗ろうとした地下鉄にタッチの差で間に合わず、急いでいたにもかかわらず、次の電車に乗る羽目に。

座席に座って、何気なくみた前の席に、何と大阪にある国立民族学博物館の准教授 広瀬浩二郎さんが座っているではありませんか。

びっくりです。何の迷いもなく声をかけました。「文春を聴いていました」とイヤホンを外されました。筑波大学東京キャンパスでの催しへ向かう途中とのこと。ほんのひと駅でしたが、楽しい車中でした。

広瀬さんが寄稿した雑誌のコピーをいただきました。ご存知の方も多いと思いますが、広瀬さんは東京都の出身、筑波大学附属盲から京都大学に進学。視覚に頼らない「さわる文化」の可能性を追及し、提唱しています。

そういえば、奈良の渡辺典子さんから広瀬さんの最新作「世界をさわるー新たな身体知の探究」(文理閣発行 本体価格2000円)を送ってもらっていました。渡辺さんは、今も広瀬さんのサポートをしているベテランの音訳者です。

早速、この「世界をさわる」を読みました。興味深く楽しい本です。5冊以上まとまると1割引きで、送料無料とのことです。

ご興味のある方は、ぜひどうぞ。

最後に、この本にも書かれている、瞽女(ごぜ)のことです。広瀬さんたちが、民族学博物館で2013年に体験プログラム「瞽女文化にさわる」を開催。瞽女とは、盲目の旅芸人で、三味線を抱えて全国を旅していた時代がありました。
明治以降は、新潟県内の高田と長岡などの雪国だけの僅かな存在となってしまいました。家々を回り門付をする瞽女は、1970年代になくなりますが、「最後の瞽女」と言われた小林ハルさん(2005年没)が住んでいたのは、私の郷里、新潟県内の旧黒川村にある盲老人ホームでした。

何だか勝手に、広瀬さんとのご縁を感じています。

No.344 出版UD研究会

46回目となる出版UD研究会が、西早稲田の日本盲人福祉センターで開かれました。 「特別な支援を必要とする子どもたちの読書環境について考える」をテーマに、専修大学の野口先生と伊藤忠記念財団の矢部さんから、プレゼンがありました。
野口先生からは、50年ぶりに実施された特別支援学校図書館の現状に対する調査アンケートの中間報告です。そして矢部さんからは、障害のある子どもたちのための読書支援事業「わいわい文庫」~マルチメディアDAISY図書~について。

さて、1校に幼稚部から高等部専攻科まである特別支援学校の図書館の現状は、普通校に比べると、年間予算、司書教諭の配置率等々、非常に低いことに驚ろかされます。 多様な障害にきめ細やかな対応が必要なことを、行政がもっと想像力を働かせてほしいと思います。

また、マルチメディアDAISY図書がさまざまな障害のある子どもたちに有効だということを現場の先生、保護者はもちろんのこと多くの人に知ってもらいたいと思います。 私たち音訳者も、まずは知ること、そして何ができるのかを考えることが大切ではないでしょうか。

ところでここでまた、(有)サイパックのマルチメディアDAISY図書再生ソフト、ボイスオブデイジー。シナノケンシ(株)のマルチメディアDAISYやテキストDAISYの製作ソフト、プロデューサーの貴重なデモもありました。日々進化の世界です。

今回は音ボラネット副代表の鶴岡、中山顧問弁護士、日頃お世話になっている畠山さんも参加。輪が広がることは嬉しいことです。活発かつ専門的な質疑応答もありました。

さて、いつも思うことですが、全国組織とはいえ、私たちのような弱小な団体は、より効率のよい活動を行っていくためにも、連携・協力が欠かせません。
でもこういう時代ですから、大なり小なりどこも同じだと思います。 予算が減らされ高齢化が進むなか、もう少し軽やかに連携・協力ができないものでしょうか。

結局のところ、何事も人とお金?でしょうか。
金木犀の香る夜道を歩きながら、単純頭で考えました。

ラジオ番組のお知らせ

筑波大学附属視覚特別支援学校の宇野先生が出演されます。
10月5日(日)朝7:30から8:00 NHKラジオ「聞いて聞かせて」(再放送)の宇野先生のコラムの中で高校段階の拡大教科書の自己負担問題を取り上げます。
NHKラジオ第2放送になりますが、ネットのらじるらじるでも聞けます。
またその後はNHKのホームページにてオンデマンドでも聞くことができます。

読書バリアフリー研究会のお知らせ

「徳島会場」「高知会場」の二件です。

多くの方々にご参加いただき、みんなで障害のある子どもたちの読書環境を考える機会にいたしたく、ご連絡さしあげました。また、お知り合いに興味のある方がいらっしゃいましたらご紹介ください。

「徳島会場」
日付: 平成26年10月25日 土曜日
会場: 徳島県立図書館 3階 集会室1
時間: 午前10時30分~午後3時30分

内容:
Ⅰ.マルチメディアDAISY図書(わいわい文庫)とは?~小さな財団の大きな実験~
【伊藤忠記念財団電子図書普及事業部 部長 矢部 剛】

Ⅱ.バリアフリー図書の棚をつくろう~五感を生かす読書サポートとそれを支える
法律の話~
【読書工房 代表 ・ 専修大学 講師 成松一郎先生】

Ⅲ.学習障害って何だろう~読み書き障害の特徴と支援方法の実際~
【金沢星稜大学人間科学部 教授    河野俊寛先生】

「高知会場」

日付け: 平成26年10月26日 日曜日
会場:   高知県教育センター 分館
時間:  午前10時30分~午後4時00分
内容:
Ⅰ.学習障害って何だろう~読み書き障害の特徴と支援方法の実際~
【金沢星稜大学人間科学部 教授    河野俊寛先生】

Ⅱ.新しい読書スタイルの提案~視覚障害当事者によるiPad,iPhone活用術~
【日本ライトハウス情報文化センター 松本一寛先生】

Ⅲ.障害者関連法案成立を受け~公共団体に求められる読書の合理的配慮とは~
【読書工房 代表・専修大学 講師 成松一郎先生】

「日本点字図書館オープンオフィス」開催のお知らせ

2014年も「日本点字図書館オープンオフィス」を開催します。

日時  2014年11月15日(土曜日) 10時~16時
2014年11月16日(日曜日) 10時~17時
会場   日本点字図書館(本館・別館)
東京都新宿区高田馬場1-23-4

11月15日(土曜日)、16日(日曜日)の両日、当館事業を広く知っていただくと共に、日頃ご支援くださっている皆様への事業成果のご報告を兼ね、昨年に引き続き施設公開イベントを開催いたします。
当館業務のご紹介をはじめ、小中学生のお子さんも楽しめる、ミニ点字教室や盲導犬体験コーナーなど体験型、参加型催し物も用意しています。
また、16日には当館テープライブラリー事業草創期にボランティアとしてご協力くださった、女優の黒柳徹子氏の講演も予定しています。
(詳しくは当館ホームページ等で随時お知らせいたします。
http://www.nittento.or.jp/
日頃当館について「どんなところ?」と興味を感じている方々をはじめ、
多くの皆様のご来場をお待ちしております。

★活動アンケート発送!ご協力お願いしま~す。

会員の皆さまに9日(火)発送しました。
お手数ですが、ご記入の上返送いただきますようお願いいたします。
合わせて、音ボラネットが公募型分科会に参加する「第100回全国図書館大会東京大会」のお知らせもお送りしました。
多くの皆さまのご参加をお待ちしています!

No.343 視覚障害者のコンサートにからめて思うこと

かねてよりご案内の『「競い合い助け合うコンサート2014」羽ばたけ視覚障害音楽家たち』が、10月25日(土)杉並区の勤労福祉会館ホールで開催されます。いつもの通り、たくさんの方にお手紙を書いて協力をお願いしております。
秋の一時、ぜひご来場の上、視覚障害音楽家たちにエールを送っていただけるとありがたいです。

ところで話は変わりますが、視覚障害者に対する心痛む事件が続いています。
ひとつは、お仕事中の盲導犬が刺されるという事件です。
盲導犬は、むやみやたらに吠えないというふうに訓練されているため、この時も、視覚障害者には、何が起こったのか、すぐには気がつきませんでした。
以前、「ベルナのしっぽ」を書かれた郡司ななえさんから聞いた話です。
盲導犬ベルナと信号待ちをしている時、「ワンちゃんに誰かがタバコの火を押し付けていたよ」と、通行人から言われたことがあるそうです。「ワンともスンとも言わないから、わからなかったけど火傷をしていた」と。

そして、つい最近では、盲学校の女子生徒が通学途中、点字ブロック上を歩行中に前から来た人に白杖が当たり、膝の裏を蹴られけがをしたという事件がありました。

盲導犬は目の代わり、白杖もしかりです。点字ブロックは安心して歩ける誘導ブロックです。

視覚障害者の生活や学習や読書環境について、知らない人が圧倒的に多いのではないでしょうか。
私もよくみなさんと共に歩いたり、乗り物に乗ったりしますが、ほとんどの人は、とても親切です。パッと道をあけてくれたり、席を譲ってくれたりします。

でもこれは、もしかしたら見えている私が一緒だからなのでしょうか。

思うに例えば目が見えない、耳が聞こえないということの不便さや怖さということ等に対する想像力が欠けているのではないかと思います。

さて、そういうことからも、今回の事件は、腹立たしいそして悲しいこと、視覚障害者にとっては、恐ろしいことです。しかし、マスコミに取り上げられ世間の耳目に触れることは、不幸中の幸いだと考えます。

新聞には、盲導犬や聴導犬の使用者団体が、罰則強化や再発防止を厚生労働大臣に要望したとありました。多くの人に知ってもらうことが大切ではないでしょうか。

そこで話を戻しますが、冒頭のコンサートの出演者は、ほぼ全員視覚障害者ですし、聴衆のなかにもいます。
ご自身だけではなく、他の方にも声をかけていただきたいと思います。特に視覚障害者のことを知らないみなさんのほうがいいのではと、今更ながら思いました。

私も今回は、娘や息子の友人だったり、田舎の同窓生の親子だったり、まるで音訳とは関係ない人たちが参加してくれます。本当にありがたいと思います。
理解の輪が大きく広がることを祈ります。
会場でお待ちしております。

No.342 「視覚障害者の雇用・就労を考える集い」

半袖では肌寒く感じる日があります。
あの酷暑を思うと、うそのように動き易くなりました。

さて、横浜で開かれた「視覚障害者の雇用・就労を考える集い」~こうして働いている!こうすれば働ける~に参加しました。今回のパネリストの一人、新潟の栗川先生から情報を寄せていただきました。

パネリスト全員が視覚障害者です。初めに松坂さんからは、視覚障害当事者団体で中途視覚障害者の復職支援に当たっているNPO法人タートルの理事長の立場でのお話がありました。次は、視覚障害のある教職員として現場に立つ栗川先生の報告。

続いて、機能訓練指導員・ケアマネージャーとして介護老人福祉施設で働く菅間さん。更には、養護学校職員を対象としたヘルスキーパーとして働く齋藤さん。最後に視覚障害者の雇用運動に長く関わってこられた神奈川県視覚障害者の雇用を進める会の神崎さんと続きました。

みなさんが本当に苦労をして、一つひとつ勝ちとってこられたんだなあと思いました。中途失明の方は、今までできていたことができなくなるという現実に、立ち直れないほどのダメージを受けられるそうです。

まずは障害を受け入れ、自立訓練や職業訓練を経て、雇用者側の理解と協力のもと、職につくということです。「目が見えなくて働けるはずがない」という雇用者側の先入観や固定観念が常識のようになっていて、なかなか雇用の拡大が進まないそうです。

会場には、盲学校の生徒さんも参加していましたが、新卒者は、在学中に職業訓練を受ける機会がないそうです。

やはり、当事者の強い意思と努力が一番。こう書くことは簡単ですが、現実の厳しさは、当事者しかわからないでしょうか。

障害者も健常者も、みんなで協力しあって、共に生きていけたらいいですね。引き続き私たちも音訳ボランティアとして、お手伝いしていきます。