毎年11月1日から3日まで、すみだ産業会館サンライズホール(墨田区内)で開かれている「サイトワールド2013」が終了しました。
世界にも例を見ないと言われる、視覚障害者向け総合イベントです。
全国からの利用者さんを支えるのは、同行のヘルパーさん、恒例となった都立橘高校の生徒さんや、たくさんのボランティアです。
当事務局も、3日間、場内アナウンスをお引き受けしました。
私は、今年は、最終日の数時間、会場へ。
懐かしい静岡の増本先生はじめ、たくさんの利用者さんにお目にかかれて、嬉しかったです。
帰りぎわ、千葉の若菜さんたちにお会いし、お目当てのブースまで、ご案内。
『すべての出展ブースを回るのではなく、今年は「ことばの道案内」でじっくり、話を聞こうと思って』と。
ここでは、駅の改札などから目的地まで「ことば」による道案内を作成し、音声対応の携帯電話やパソコンでのサービスを無料で提供しています。
実際に携帯やパソコンを使って操作方法の説明を受け、音声による道案内を聞くことができます。
ところで私のひそかな楽しみは、「ワンコインマッサージ」なのです。
「こっていますねえ」と丁寧にほぐしてもらいながら、週一は、マッサージを受けたほうがいい、運動は水泳が一番とアドバイスを受けました。
ボランティアは、元気でなければ、できません。
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No.301 長岡での打合せ
午前中に、活動拠点の飯田橋のボランティアセンターへ。
待ち合わせをしていた、朝日新聞の女性記者に「音訳」について、種々説明。
情報を少しでも早く届けるための「テキスト化」のことや、学習障害等の人たちに向けた「マルチメディアDAISY」のことも、話しました。
そしてその足で、東京駅から新幹線に飛び乗り、新潟県長岡市へ。
中央公論社の「名著を読もう」プロジェクトに応募してくださった約50グループ・個人のありがたいみなさんに、なかなかゴーサインが、だせません。
あくまでも、新潟県点字図書館に協力するという形です。
私たちは、全国組織とはいえ、単なるボランティア団体です。
フットワークの軽さが身上ですが、先方は、そうはいきません。
初めてのコラボレーションです。館内の調整もあるでしょう。
最大のネックは、完成品のクオリティの問題です。
通常は、読みのレベルをはじめ、意志疎通のとれている自館のボランティアを相手にしているわけです。
今回は、そうでは、ありません。
戸惑いがあって当然です。
そんな状況のなか、依頼者の栗川先生が、長岡市の図書館で、音訳ボランティアの研修会に講師として、出席。点字図書館の担当の方も、もちろん一緒。
そこで数日前にお声がかかり急遽、長岡での「三者会談」が、実現したというわけです。メールや電話では、何度もやりとりは、しているものの、三者が顔を合わせるのは、初めてです。
これは、大切なことでした。
忌憚のない意見交換の場となり、お互いにスッキリしました。
電子図書館のサピエに音源をあげるということで、一致しました。
そのためにも、クオリティが一定水準にあるということが、条件になります。
詳細は後日、事務的から連絡いたします。
栗川先生からも、「貴重な取り組みで、とてもありがたい。2年後の音ボラの総会に今回のことが、報告できるといいですね」と。
ぜひ、そうなるように頑張りましょう。
みなさまのご協力をよろしくお願いいたします。
わずか2時間半の長岡滞在でしたが、とっても有意義でした。
No.300 図書館総合展
パシフィコ横浜で、開かれていた「図書館総合展」に行ってきました。
「図書館を使う人、働く人、図書館に関わる仕事をしている人たちが、図書館の今後について考え、新たなパートナーシップを築いていく場」
だそうです。
1991年に第1回が開催されて以来、年に一度のペースで続き、今回で15回目となります。
フォーラムやプレゼンテーション。
企業による最新の技術や動向がわかるブース出展などさまざまな企画が行なわれています。
遠方からの参加とおぼしき人たちが、続々と入場。
興味惹かれるフォーラムもありましたが、時間の関係で、断念。
目指すは、(株)東芝研究開発センターの黒田さんたちのブースです。
こちらでは、音訳支援のためのWebサービス「DaisyRings」を開発しています。
東芝の音声合成を用いて、短時間低コストで、書籍の音訳を行なうことを、目的として開発しています。
今、目の前に困っている人がいるから、頑張っていますが、マルチメディアDAISYの製作やテキスト化のことなど、私たちボランティアが手弁当で、いつまでできるのかなあという疑問は、私の中にずっとあります。
あるところで、「教科書は、文科省が提供すべきもの、大変な苦労をしてボランティアが作るべきものではない。それがわかっていて、車の両輪のごとく、行政への働きかけもすべき」と訴えたことを、黒田さんが、耳に留めて下さって、開発したとおっしゃっていたサービスです。
彼女たちの音声合成は、人の声をベースにしています。
例えば黒田さんの6才(当時)のお嬢さんと、ママである黒田さんの声を元に、紙芝居を作っています。
とっても可愛くて、暖かみのある「声」になっていて、びっくりです。肉声による音訳はなくなりませんから、これはこれ。他の面で、少しでも、負担を減らすことができるなら、企業とのコラボは、貴重です。
具体的なことを進められるように、考えましょう。
肉声のよさを保つためには、ますますスキルアップを目指さないといけないということでしょうか。
「事務局メンバーはじめ、音訳ボランティアのみなさんに最新の技術をお見せできてよかった」と、黒田さんがおっしゃっていました。
高知でお世話になった点字図書館の坂本館長にも、お目にかがりました。
貴重な1日でした。
No.299 アメディアフェア
アメディアフェアとは、(株)アメディアが設立2年目から毎年開催している視覚障害者の祭典だそうです。今年で24回目となります。
視覚障害者に便利なモノ、使えるモノ、楽しめるモノを直接手にとってみて、購入できます。
また、ボランティアにも役立つ機器の展示もあります。
今年は、23の展示が、ありました。
また、別室では、4つの講演と寄席もありました。
この講演の一つに、我らが松井さんの「デイジー図書を活用した生活情報の提供について」がありました。
ここには、音訳ボランティアも参加していました。
講演会の司会は、美月めぐみさんと鈴木大輔さんのお二人。場内アナウンスは、鈴木さん。ハンドマイクを持って、場内を歩きながらの名アナウンス、声が通ること通ること、バッチリ。
焼きたてパンを売っていたりもしますし、出展の各社が景品を提供している空くじなしの抽選会もあります。
松井さんは、小型の拡大読書機が当たりましたし、私も、スヌーピーのエコバックが当たりました。
こういう場に出向くと、懐かしい音訳者や視覚障害の方に、ばったり会えたりするのも楽しみです。
ところで、ガイドボランティアや場内ボランティアのみなさんが、とても熱心で親切でした。
JR浅草橋で、下車してすぐに、「会場はこちらでしたね」と確認する私に、すかさず「ご案内しましょうか」と。
また会場で、チラシをもらいそこねて帰りぎわ、「参考にいただけませんか」と尋ねると、すでにすべて配布し終わっているにも関わらず、事務局の方のを持ってきてくれたり、申し訳ないほどでした。
サイトワールドが終わってまだ、2ヶ月もたっていないのに、各地からの参加者が500人以上とか。大盛況です。
視覚障害のお子さんを連れた保護者の姿も目立ちます。
そして、展示スペースの片隅に、椅子とテーブルの置かれた休憩所があります。これもいい感じです。
会場を見て回るのも、けっこう疲れます。ちょっと一休みしたいなあと思います。また、思いがけない人に出会って、おしゃべりしたい時もあります。
そんな時、休憩所が用意されているのも、心がほっこりします。
人気の秘密が何となくわかりました。
来年もまた、参加してみようかなと思わせる、アメディアフェアでした。
No.298 競い合い、助け合うコンサート2013
毎年恒例の知る人ぞ知る、「競い合い、助け合うコンサート2013 視覚障害音楽家たち」が、開催されました。
女声コーラスのコール・トゥインクルスターのみなさんは、ふと口ずさめるような曲。
中国笛とテノールの楊雪元さん、白杖の「トルコ行進曲」と「北国の春」は、つとに有名です。
お琴の澤村祐司さんとお仲間による演奏。袴と艶やかなお着物。「和」の世界です。
以上、3組の出演です。じっくりと演奏を聞くことができました。
この度も多くのみなさまに、ご協力をいただきました。
年1回、この会場でしか、お会いしない人、那須塩原から駆けつけてくれる人、それもお嬢さんたちを伴って。またご両親を誘ってきてくれる人。仲良くご夫婦でという方も、ちらほら。友人との参加が一番多いでしようか。
当日は参加できないとわかっていて、チケット代は寄付ですと、送ってくれる人。
この場を借りてお礼を申しあげます。
主催の視覚障害者支援総合センターの高橋實理事長の思いの詰まったコンサートです。出演者の人選、プログラムの組み立て方等、開催にこぎつけるまでのご苦労は、並大抵のことではないはずです。センターの若い職員のみなさんが、一生懸命サポートしています。しかし残念なことに、座席に空きが目立ちます。
チケットの売りさばきに協力している一実行委員の私ですが、年々売上が落ちているように思います。
このコンサートを盛り上げていくために、みなさん!何かいい知恵はありませんか?
ホームページに掲載しても、引き合いは、なし。すべてにおいてですが、ホームページを見て、参加したいという人は、大変奇特な方です。
だからこそ、私は毎回、せっせと直筆のラブレターを書きます。
いかにもアナログ!です。でも、これが一番なのです。
20人に来てほしいと思うと、50人くらいのみなさんに案内を出さないと難しいのが、現状ですが。
こういう分野で頑張っている視覚障害者もいるということを、一人でも多くのみなさんに知ってほしいと思います。
また来年も楽しみにしていますと、帰られる人、ありがたいです。
私の娘夫婦が、お世話になっている方の小学生のお嬢さんを連れて来場。
この子は、白杖に穴を開けた横笛?フルート?での、楊さんのアップテンポの「トルコ行進曲」に、目をまん丸くして、拍手していたそうです。そういえば、会場にお子さんも数人。
町で視覚障害者を見かけたら、声をかけられる人になってほしいなあと思いました。
みなさま、いつもありがとうございます。
ぜひ、また来年、元気でお目にかかれたら嬉しいです。
No.297 高知とテキスト化プロジェクト
高知で、もう一つ大切な用事がありました。
私たちの「テキスト化プロジェクト」に、コンピュータの読み上げソフトである、PCーTalkerを無償提供してくれている、(株)高知システム開発さんにご挨拶に伺うことです。
何事もすべて持ち出し状態の音訳ボランティアにとって、こうした形で企業のみなさんが、ご支援くださることは、大変にありがたいことです。
晴眼者である音訳ボランティアが、校正用にこのソフトを使い、より精度の高いテキストファイルを、利用者に提供しようと頑張っています。
もしかしたら、高知システムさんでは、こんなふうな使われ方があるということは、想定外だったかもしれません。
実際にこのソフトを使い作業をしているメンバーの感想やらを、まとめたものをお渡ししました。
ご担当の宇賀さんはじめみなさま、大変お世話になりました。ありがとうございます。
さて、テキスト化プロジェクト立ち上げのきっかけとなった市内在住の藤原さん、北九州から駆けつけたこの活動の牽引力となっている大木さんと再会しました。
まさに、キーパーソンの集合でしょうか。
そしてもう一人、ぜひ直接お礼をと、ホテルまで訪ねてくださったのが、市内の学生さんのお母さんです。
「みなさんのおかげで、短大の卒業が決りました」と。
ご本人とお母さんが勝ち取ったものです。
10数年前、有名私立高校に入学。サッカー部にも入りました。
試合のために遠征した地での落雷事故で、手足が動かなくなり、車椅子生活に、そして視力も、失います。「こんなになっても勉強がしたい、英語も勉強したい、と言うのです」とお母さん。
今は努力の結果、指でキーボードを打てるようになりました。
「学校は、なかなか難しいところです。今は、言いたいことがあっても、なるべく我慢しています。うちの子が卒業する時には、次に続く障害者のために、言います」と笑いながら、おっしゃる。母は、強しです。エールを送ります。
学校や行政、大きな組織はなかなか動きませんし、動きだすまでに、時間がかかります。今、目の前で困っている人たちへのサポートが、十分ではありません。私たちボランティアは、こうした社会の隙間を埋める存在だと思います。
このテキスト化プロジェクトには、今続々と依頼がきています。
速報性が命のこの活動に支障がきたさないように、今活動してくれているメンバーのスキルアップと新たなメンバーも育てなければなりません。
ごくごく一部の図書館ですが、取り組みへの歩みが少しずつ、始まっています。
地方拠点が、増えることは、大歓迎です。
大阪の日本ライトハウスでは、すでに4月から、そして東京の日本点字図書館でも動きがあるようです。
こういう歴史のある大きなところが、動きだせば、鬼に金棒でしょう。願わくはこの先、私たちの手に負えない量の依頼があった時、それぞれの拠点に振る、その逆があっても、当然です。
早くそういう連携ができるようになるといいなあと単純に考えています。
何はさておき、学びの途上にある児童・生徒・学生さんをみんなで、支えようではありませんか。
これからも、この「テキスト化」へのご支援・ご協力を切にお願い申しあげます。
No.296 高知訪問
夏日の羽田を飛び立って、降り立った高知龍馬空港も暑い。
寸暇を惜しんで閉園直前に登った高知城の天守閣、蝉の声が賑やか。土地っ子もビックリ。
今年は、どこもおかしいですね。
さて、松田光代さんが会長をつとめる「高知朗読奉仕者友の会」(会員75名)の発足30周年記念の式典にお招きいただき、初の高知入りとなりました。
音訳の歴史をひもといてみると、日本点字図書館創立の本間一夫先生が、テープライブラリーを始められて50数年です。
一ボランティアグループで、30周年を迎えたところは、古い方でしょう。
私たちの音ボラネットが立ち上がって、ようやく7年目。それに比べると30年は、長い年月の積み重ねです。大変なご苦労があったことは、容易に想像ができます。
私も一文をしたためた「三十年のあゆみ」と題した記念誌も出来上がりました。
県知事や副市長も駆けつけ、立派な記念の式典でした。
その後、「読書障害者の読書環境の変化と音訳者の役割」について、話をさせていただきました。
利用者の読書環境の現状をお知らせしました。また、肉声の良さは、大切にしつつ、聴きやすい録音図書製作のために日々スキルを磨くこと、そして、できるだけ早く情報を提供することが、求められていること。
また、より速報性の求められる分野のものがあるということ等。
更には、連携と発想の転換についても、話しました。早速にアンケートの集計結果を送ってくださいました。みなさまに喜んでいただけたようで、ほっとしました。
2日目は、日本ライトハウス情報文化センターの金井先生を、お迎えして研修会が開かれました。
原点に立ち返って「枠アナウンスと目次の立て方」を教えていただきました。
私もみなさんに混じって受講。
音訳って、奥が深いと、しみじみ実感した1日でした。
友の会の活動や式典の様子を、地元の高知新聞が、12日の朝刊から始まって、夕刊、13日の朝刊にと取り上げていました。
地元にしっかりと根を張った活動を続けていることが、一目瞭然です。
それぞれに悩みや課題は、ありますが、また次の目標に向かって元気で楽しく進んでいきましょう。
みなさま、お世話になりました。また、いつかどこかで。
No.295 特に広島、福岡にお住まいの方やお近くの方へ
私たちが提供した音源を元に、マルチメディアDAISY図書を製作し、特別支援学校や盲学校等に寄贈している、伊藤忠記念財団の矢部さんたちが全国行脚中です。
今月の26日には、福岡県立図書館で、そして27日には広島市立中央図書館で、「読書バリアフリー研究会」が開かれます。
一人でも多くの人に、障害のある人たちの読書環境の現状を知ってほしいと頑張っています。
福岡の詳細 http://www.itc-zaidan.or.jp/event_fukuoka20131029.html
広島の詳細 http://www.itc-zaidan.or.jp/event_hiroshima20131027.html
2012年12月に、10年ぶりに文科省の調査が発表になりました。全国の公立小中学校の通常学級に、発達障害の子どもが、6.5%。つまり35人学級なら2人はいる計算になるそうです。
そしてそのうちの4割は、何の支援も受けていないという現状です。
私たち一人ひとりが関心を持ち、まずは、勉強する。そしてまわりの学校関係者や保護者のみなさんにも、情報を伝えていく、そんなことでも立派な支援になるのではないでしょうか。
いずれの会場とも、まだまだ余裕があるそうです。
ぜひ、ご参加ください。
新潟からも、参加申込みがあるそうです。
No.294 公共図書館での講座
千葉県旭市にある千葉県立東部図書館に伺いました。
この旭市は、房総半島の北部にあり漁業の盛んな町です。
あの3.11の大震災では、市内飯岡地区を8メートル近い津波が襲い、13名の方が亡くなっています。そして、図書館の駐車場には、仮設住宅が建っています。
2年半以上経った今も、20世帯ほどのみなさんが住んでいるそうです。足を運んでみて初めて見えてくることがあります。
何もできませんが、せめて日常を奪われたみなさんのことを忘れないでいたいと思いました。
さて、この東部図書館で、すでに活動している音訳ボランティアのみなさんに、今一度、原点に立ち返り、いかにしてモチベーションをあげて、少しでも効率のよい活動ができるか。
「情報は早くなければ情報ではない」と言われる利用者に応えるためには、どうしたらいいのかというような観点で話したいと2回の講座をお引き受けしました。
初回は、音ボラネットの紹介と音訳の歴史を振り返りました。
そして、「聞きやすい録音図書」を一緒に聴いてみました。
「図書館連携プロジェクト」で新宿区立戸山図書館から、依頼があった1回目の作品、3タイトルのCDを持参しました。音ボラネットの名前で、製作しているものです。
あくまで教材として使うということで、図書館からの了解も得ています。
表紙の読みや、読みの早さ等、参考にしていただけたようです。
合間に、県内の図書館にお勤めのなごや会のメンバーのお二人からも、感想を伺いました。早聞きも体験。案の定、みなさんびっくり。
職員の方も参加ということで、私の方が緊張しましたが、利用者として感想等お話していただき、ありがたかったです。
ところで、私たちにとっては、切っても切れない関係にあるのが、図書館です。
このネットワーク立ち上げの時から、いかに連携すべきかを考え、その大切さを言い続けてきました。
ありがたいことに、今回このような機会を与えていただき、感謝申しあげます。
次回も、よろしくお願いいたします。
No.293 富田倫生さん追悼イベント
去る8月に亡くなった富田倫生さんといえば、「青空文庫」の呼掛け人であるというくらいの知識しかありませんでした。もちろん面識もありません。
なのに富田さんの追悼イベント第一部、記念シンポジウムに参加したのには、わけがありました。
この追悼イベントの運営と「青空文庫」の活動を将来にわたって支援する「本の未来基金」が、創設されました。
イベントの協賛団体にと、松井さんを通じてお誘いがあったので、名前をださせていただきました。
そこで、どんなイベントなのか、参加してみないとというのが、そもそもの理由です。
インターネット上で、著作権の切れた小説等を無料で配信しているのが「青空文庫」です。常に新しい情報を求める利用者からの依頼を受ける私たち音訳者には、あまり馴染みがないかもしれません。
しかし、紙の本では、使えない人たちにとっては、ネット上で公開されていることによって、第三者の手を煩わせることなく、自分なりに加工して使えるのは、すばらしいことです。
マルチメディアDAISY図書の製作者の中には、この「青空文庫」を重宝して使っているという人もいます。
ところで、富田さんは、このことに関連して、著作権保護期間(現行、著作者の死後50年)延長に反対の活動にも取り組んでいた方だったそうです。
この保護期間は、適切な期間に調整されるべきですが、「適切な期間」を巡って、さまざまな立場が存在することになります。保護期間延長問題とは、なんなのか。国の思惑もあります。
メリット、デメリットを見極めることが、大切。
あらゆることが、勉強です。知らないことが多すぎます。
出向かなければ、わからないこと、出向かなければ出会えない人が、います。
でもこの身は、一つ。何とも悩ましいかぎりです。