音ボラネット事務局 のすべての投稿

No.292 稲門グリークラブ演奏会

「暑さ寒さも彼岸まで」の言葉どおり、ずいぶんと秋めいてきました。赤い曼珠沙華が、目に鮮やかです。
ところで今、みなさんに「名著を読もうプロジェクト」への協力をお願いしておりますが(中央公論社の世界の名著・日本の名著の音訳)
この依頼元である、新潟の栗川先生たちの男声合唱を聴きにサントリーホールに出かけました。
「炎のコバケン」(蛇足ながら、小林研一郎氏のこと)が振る稲門グリークラブの演奏会です。栗川先生は、早稲田大学グリークラブのOBです。全国からご参集の老若のワセダマンです。140余名の舞台です。前から4列目の席で、指揮はもちろん、みなさんの表情がよく見えます。大曲、「レクイエム」と「水のいのち」の二曲。重厚ながら、繊細な男声合唱に魅了されました。
サプライズも用意していますと、先生がおっしゃっていましたが、コバケンさんのピアノとソロを聴かせていただきました。特に男声合唱曲「アカシアの径」は、素敵でした。
大半、コーラスはバックにまわって、バスのソロの独壇場です。
そのソロをコバケンさんの高い透明感のある声が、切々と歌い上げます。涙が出そうでした。
最後の「都の西北」(言うまでもなく早稲田大学の校歌です)は、圧巻です。壇上のみなさんの何と誇らしげなことか。羨ましいくらい。
栗川先生は、事前に何度も上京して、練習に参加。指揮が見えない分、何倍ものご苦労があったことでしょう。何事にも前向きに挑戦なさる先生の姿勢は、教え子たちに素晴らしい教育になっていることと確信します。
舞台を下りられるとき、正面に向かい、かすかにお辞儀をされた姿が印象的でした。

No.291 秋田・青森駆け足訪問記 Ⅱ

当初から、松井さんとは、せっかくの秋田行き、なんとか時間を有効に使い、青森まで足を伸ばそうと計画していました。
青森には、半年くらい前に、当会の個人会員登録をしてくれた、神山先生がいます。
あおもりDAISY研究会の代表であり、私たちのテキスト化プロジェクトのアドバイザー的な役割を担ってくれています。そこで、なんとか情報交換しながら、地元で協力者を増やし、活動の輪を広げられればということも大きな目的の一つでした。
まず、青森行きの特急で一緒だった、青森県視覚障害者情報センターの職員の方にお願いして、センターを見学させていただくことに。
車に同乗、一路センターへ。
そこへ、神山先生も合流。
業務終了間際の慌ただしい時間に、丁寧に説明していただきました。
また、出張中だった對馬センター長ともお話しができ、思いがけなく、有意義な一時でした。
その後は、神山先生の車で、青森駅近くの「おさない食堂」でご飯を食べました。
新鮮な陸奥湾の魚介類をリーズナブルな値段で提供しているお店です。朝7時から夜10時まで開いています。旅行者とおぼしき人や地元の人たちが、引っきりなしに出入りしています。話が弾みました。
さて、次の日は、青森市民図書館と県立図書館におじゃましました。
かなりタイトではありましたが、生の津軽三味線も聴けましたし、海を眺めながら、また海の幸満載のお昼もいただきました。
最後は、新幹線に間に合うのかハラハラしたときもありましたが、無事車中の人に。
ほんとうに、よく動きました。
さて、点字図書館というのは、視覚障害者限定という所がほとんどのようですが、公共図書館は、著作権法の改正で、大きく変わっていいはずですが、実態はあまり、変わっていないような印象です。
まあ、障害者サービスのないところもありますので。音訳ボランティアもそうですが、各図書館でも、読書障害者のおかれている現状を広く知るということが、大切だと痛感しました。
県立図書館では、10月1日に埼玉県立久喜図書館の佐藤さんを講師に研修を予定しています。
せっかくなので、他の公共図書館はもちろん、点字図書館やボランティアにも声をかけてください。
秋田での点字図書館の研修会では、200名を超える参加者があり、熱心なボランティアが、大勢集まっていましたよ、とやんわりお伝えしてきました。
やはり、中央と地方の格差はあると思いました。
そのなかでも、一生懸命頑張っている多くの人に出会えたことは、とてもありがたいことでした。
いつも思うことですが、出かけていって顔をあわせることの大切さ、大事にしたいとおもいました。

No.290 秋田、青森駆け足訪問記 Ⅰ

9月5~6日にかけて、秋田市内で開かれた東北・新潟・北海道ブロック点字図書館等連絡協議会の音訳・音訳校正・デイジー編集合同研修会に参加しました。初日は、千葉県立西部図書館の松井さんの講演です。
2日目は、秋田県点字図書館音訳指導員松本さんと同じく福田さんによる協議「今後の音訳・音訳校正・デイジー編集ボランティアに求められること」です。
音訳ボランティアはもちろん、点字図書館の職員、盲学校の先生等200名を超える参加者で、会場が一杯です。
私はといえば、松井さんのカバン持ちで、ぜひにとお願い。
渡辺館長はじめ、主催のみなさまの寛大なお心で、同行者として、受け入れていただきました。
みなさんがおもてなしの心全開で対応。大変有意義な2日間を過ごすことができました。
 松井さんは、「視覚に障害のある人が求める『読書』」等のテーマで講演。
テキスト化のことや、機材・ソフト等の関係のことは、どうしても横文字が多くなり、消化不良の人もいたようです。
このことも踏まえ、2日目には、再度、松本さんからフォローがありましたので、だいぶ理解が深まったのではと思います。地方と中央の格差を感じないではありませんが、みなさんの熱心さは、かわりません。必死にメモをとっていました。
読書障害者の現状を知るということは、大切です。ありがたいことに、当日資料に音ボラの紹介を載せていただきました。また、松井さんの講演のなかでも、時間をいただきテキスト化のことを、お話しました。中央公論社の「名著を読もう!」の 話も出し、協力をお願いしました。この名著シリーズの引き受け館の新潟県点字図書館の担当者とも、お話しができました。その他、たくさんの会員のみなさんとの再会は、ひとしお、嬉しく思いました。そして新しい出会いもありました。
ある男性は、松井さんの話はよくわかった。テキスト化のこともお手伝いできるかもと。また同じテキスト化のことでは、2日目に、テキスト化プロジェクトで頑張っている小樽の軽部さんが、実践者として、発言。それを受けて同じ北海道の方が、第二の人生が見つかりそうと。また、名著を読もうプロジェクトのことでは、グループで対応できますと。月刊「世界」を読みたいという人も現れ、早速に成果がありました。おかげさまで、私にとっても、実り多い秋田訪問でした。
それぞれに頑張っているみなさんから、励まされました。
ありがとうございました。

No.289 コンサート

恒例の「競い合い、助け合うコンサート2013 羽ばたけ視覚障害音楽家たち」が、10月19日(土)杉並区の勤労福祉会館ホールで、開かれます。
いつものとおり、実行委員として、チケットの売りさばきに協力しています。
常に多忙を極め、持ち出しの多い音訳者には、なかなか厳しい面もあるかなあと、思いながら、「ぜひ、コンサートにお越しください」と、せっせとラブレター?を書いています。
私たちは、日頃音訳をとおして、利用者の応援をしています。
その利用者もさまざまです。
才能ある視覚障害音楽家たちがいます。
そのコンサートに足を運ぶということ、これも一つの応援です。
そして参加する私たちは、聴衆として、癒され励まされてもいます。お互い様の関係です。与えるだけ、与えられるだけではない、対等の関係が大切です。
ダメ元でお知り合いになった企業や行政のみなさんにも、ご案内をだしました。
チケットは、どっさりあります。ご用命は、ぜひ藤田まで、よろしくお願いいたします。今年のプログラムは、お馴染みの女声コーラス「コール・トゥインクルスター」、そして、中国笛と歌(テノール)の楊雪元さん、箏の澤村祐司さんとそのお仲間です。
きっとすてきなステージになること間違いなし!です。
また会場でみなさんにお会いするのを楽しみにしています。

No.288 名著を読もうプロジェクト

赤とんぼ、発見!自宅近くのキャベツ畑の上を飛んでいました。
そういえば、朝夕の風が、かすかに変わってきたような感じがします。でも少し動くと、どっと汗が吹き出します。不快な湿気には、閉口していますが、みなさま、お元気でしょうか。
さて会員のみなさんには、先日「お知らせ」をお送りしました。
その中に「名著を読もうプロジェクト」録音図書製作協力者募集があります。
そもそも、総会の折りの第2分科会ご登壇の栗川先生が地元の新潟県点字図書館に依頼を出しているものです。
中央公論社の全集「世界の名著」「日本の名著」です。
先生の蔵書だそうです。私たちのネットワークの存在をご存知なかった先生から、「音ボラネットのマンパワーでご協力いただけないか」と。
まだ音訳されていないものが、150冊ほどあるようです。
何とか存命中に全冊を録音図書にしてほしい。そして、在職中(高校の教師)に教材として使いたいという、強い希望をうかがいました。
まず、点字図書館と連絡をとりました。
担当は前向きな熱心な方です。
協力してもらえるのは、大歓迎と。基本、音ボラネットとしては、点図に協力するという形で、栗川先生の夢を実現できれば、と思います。
まだまだクリアしなければならないことはありますが、改めてたくさんの方のご協力をお願いいたします。さて、初めこの話を伺ったとき、新潟県点図はすごいと思いました。
普通は、断ります。
私たちのところには、地元で「そんな難しいものは、うちでは読めない」「あなた一人のために、多くの人手はさけない」と断られた人たちからの依頼がきます。確かに法律の専門書だったり、10冊以上の受験のための教材だったりと、手間暇のかかるものばかりです。
そういう現状で、勇気ある決断だと敬意を表しました。
しかしいつになったら、完成するのか、心配になったというのも、正直な気持ちでした。
ここで思うところですが、人とお金には、限りがあります。その中で、いかに効率よく活動できるか、より多くの録音図書が作れるか、みんなで知恵を出しあいましょう。
今後このような依頼を受けたところが、自分のところでは、手に余るものがきたとしても、「できません」とは言わず、他と連携すればいいように思います。
点字図書館同士や公共図書館同士は、もちろんのこと、点字図書館と公共図書館との連携を深めることが大切ではないでしょうか。
私たちも、できるかぎりの協力は、させていただきます。
なんといっても、目の前で困っている利用者のためです。
このプロジェクトが、うまく進んでいくことを祈ります。

No.287 文化庁に要望書を提出

文化庁に陳情に行ってきました。
去る6月、モロッコのマラケシュで「全盲の人々、視覚障害のある人々、あるいはその他のプリントディスアビリティのある人々のために、出版物へのアクセスを改善するマラケシュ条約」が採択されました。
そして、このことを受け、著作権法の改正が必要と、要望書を提出しました。
日本盲人会連合の大橋さん、弱視問題研究会の宇野先生、障害者放送協議会の井上さん、全国拡大教材製作協議会の佐藤さんと、ご一緒しました。
2009年の著作権法の改正においては、点字図書館に加え、公共図書館でも著作権許諾がフリーとなり、公共図書館の音訳ボランティアにとっても、大きな前進となりました。しかし、地域ボランティアや社協の下で、活動しているボランティアは、そこからもれたのです。当時、非常に残念というより、悲しいというのが、正直な気持ちでした。
図書館ボランティアと何らかわりなく、視覚障害者支援をしている上記の多くのボランティアにも、活動の幅を広げてほしいというのが、私の思いです。
著作権法第37条第3項にある「政令の定めるもの」という規制を無くしてほしい。すべての音訳ボランティアが平等に活動が進められるように、格段の配慮をお願いしてきました。
文化庁の著作権課長はじめ4人の担当者の方々が出席。こちら側は、論客揃いです。
初めに各5分ずつそれぞれの団体の紹介と簡単な要望内容を述べました。
私はといえば、みなさんの足を引っ張っているのではないかと案じながら、当事者として話しました。手弁当で、いかに苦労しながら、利用者のために、日々頑張っているかを伝えました。
宇野先生からの「お疲れさまメール」には、「インパクトのある話だったので、お役人もボランティアの方のご苦労がよくわかったと思います」とありました。
また12月に再訪問することを約束してきました。
この度の要望を文化庁がどう受けとめてくれるのか、期待をしたいと思います。

No.286 貴重な連携

埼玉県内の三芳町役場の福祉課の方から、メールをいただきました。
社会福祉協議会で活動している音訳グループがあり、主に広報を読んでいます。
この度このグループからの相談もあり、福祉課、秘書広報室、社協、音訳グループの4者が協力、今後のことを話し合ったそうです。
まず、音訳者養成講座を開催、それに先立ち講演会も企画。ついては、種々相談にのってもらい、講師の紹介もしてほしいというものでした。
なかなか貴重なかつ、面白い事例だと思い、二つ返事でお引き受けしました。
そもそもは、このホームページをみて、連絡をくださったわけです。
しかし私たちのような法人格も持たない、単なるボランティア団体に対して、信頼感を持ってくれた理由を教えてもらいました。
昨年の夏、ボラセン職員の方からのお声がけで、企業のボランティア体験の一環として、(株)日立製作所の社員のみなさんに、「音訳体験講習会」を開きました。
その時の様子が、日立のサイトで詳しく取り上げられています。
特に行政だからでしょうか、こういうことが、私たちが信頼に値する団体だという判断材料になるのだと、面白く伺いました。
日頃から、一つ一つ丁寧に対応していくことの大切さを、改めて感じました。
さて、みなさんが、ボラセンまで来てくださいました。音訳と朗読の違いなどから始まり、みなさんの質問に応えながら、情報・意見交換をしました。
音訳者の募集に伴い養成講座を開きたいということについて。
広報しか読んでいないということなので、もっと他のものも読んだらと提案。それには、著作権がネックになるので、公共図書館との連携が大切。せっかくなので、図書館もぜひ巻き込んでと伝えました。
また、講演会については、音訳者養成講座の一環というふうに狭い括りではなく、広く町民や近隣のみなさんにも参加してもらえるようなものにしては、どうか。
多くの人が、視覚障害について考えるきっかけになる講演会は、いかがですか、と提案。こんなに強力な布陣はありません。珍しい例だと思いますが、この関係は、ぜひ大切にし、今後も三芳町でなければできない活動を展開してほしいと申し上げました。
講演の講師の候補として、「わが盲想」という著作のあるスーダン人のアブディンさんを推薦しました。視覚、言語、文化等にハンディを持った彼が、どんな話を聞かせてくれるのか、いつか、私たちもお呼びしたい方の一人です。今後も協力は、惜しみません。
熱心な担当のみなさんがいます。必ずうまくいくはずです。
これからもよろしくお願いいたします。

No.285 第40回出版UD研究会

昨年の9月以来の出版UD研究会が、都内専修大学で開かれました。
「デジタル教科書は、どこまでアクセシビリティを実現しているのか」というテーマで、教科書製作会社の金子さんからのプレゼンです。
技術の進歩は、スゴい!社会が学校が、変化してきています。
さて、デジタル教科書には、指導者用つまり、先生向けと学習者用つまり、児童・生徒用とがあります。
先生用のものだと、児童・生徒は、顔をあげて、画面をみることから、個々の顔がみえるので、子どもの状態がつかめる。
また、他のページにリンクできるとか、拡大もできるとか、紙の教科書では、難しかったことが、即座にできるよさがある。国語の教科書には、朗読の音声再生機が入っている。しかし、まだスタートラインにたったばかりで、紙の教科書はなくなるかという問いには、今なくなったら授業は、なりたたないでしょうと。
私たちの音訳における肉声と合成音声の関係、現状のように見えます。
ところで、算数や数学の教科書は、独自のものが多いのでデジタル化しやすいそうですが、国語は、著作権の問題があり、難しい。この作品は、デジタル化しないという作者もいるので、現実、その作品を抜いたものを作らざるをえないこともありえるとのこと。
また、更なる欠点としては、眼精疲労の問題等があり、子どもたちは、常に管理されている感覚を持つということも指摘されています。
紙の教科書では、内容にアクセスしにくいまたは、できない子どもたちにアクセスしやすい方法で内容を提供できるようにすることを目指しています。
技術の進歩は、日進月歩、正直なところ、私のようなアナログ人間の理解を超えているところもあります。大事なことは、教科書はだれのものかという視点ではないでしょうか。
金子さんたちも、授業参観をなさっているということでしたが、現場の先生の声を最大限取り込む。さらには、現実に難しいかもしれませんが、児童・生徒の声にも耳を傾けるべきだと思います。
いうまでもなく、情報交換の場でもある懇親会は、いつにも増して多才な顔ぶれで、更に有意義でした。

No.284 IMDプロジェクト

まだまだ回りに畑が残るここ練馬でも、今年はまだ聞こえてこない、ミンミンゼミの鳴き声。
先日、都心の青山で聞きました。
改めて感じるのですが、東京って、けっこう緑が多いと思います。
さて、ミンミンゼミにいやされて、たどり着いたのは、天下の総合商社、伊藤忠のビルの一角、伊藤忠記念財団です。
いつものIMDプロジェクト事務局のメンバー、そしてこの度は、松井さんとロミオ(盲導犬)が一緒です。
出迎えてくださったのは、新任の専務理事 事務局長の中島さん、矢部さんはじめ編集の中村さん、選書と事務の岩沢さん、フルメンバーです。
当初、マルチメディアDAISY配布先の特別支援学校や盲学校などからのアンケートの回収率が低く、やはりフィードバックがないのは、寄贈はしたものの、ほんとうに喜ばれているのか、活用されているのか、というので、事業存続にも繋がりかねないことになりそうな様相だったようです。
はたで見ていてもずいぶんと、ご苦労されていました。
今回は「わいわい文庫」受領書に、感想や意見を記入する欄を設けたとのこと。
学校、図書館、医療団体、研究機関、その他の団体から、「活用している」「次回も楽しみ」等、以前に比べたら雲泥の差の好意的な感想・意見が戻ってきています。
回を重ね、創意工夫している矢部さんたちの努力が、少しずつ実ってきていると思います。
私たちも4年目の協働作業です。
読み方も「通常の音訳」ではなく、お子さん相手ですから、もう少し表情をつけてもいいかもしれません。お互い、子どもたちの笑顔のために遠慮のない意見や情報の交換をしていきたいと思います。
ところで、私たちに対するお気遣いでしょう。
ビルの地下にあるゆったりとしたおしゃれな空間で、暑気祓いをしてくださいました。
ネット社会がどんなに進歩したとしても、直接顔を合わせることの大切さは、常に感じていることですし、回を重ねるごとに信頼関係が深まります。
矢部さんたちも少数精鋭で、役割分担しながら、この事業を進めています。
何といっても、通常の本では、読書の楽しみを味わえない、未来ある子どもたちに、少しでも多くの良書を届けたい、私たちの思いでもあります。

No.283 不思議な一日

今日は、とても不思議な、でも貴重な一日でした。
朝、高田馬場に集合。約50名の定員一杯の貸し切りバスで一路、八王子へ。目指すは、八王子霊園にある、日本点字図書館の創立者本間一夫先生のお墓です。
本年は没後、10周年に当たり、日点の「本間記念室整備委員会」が「墓前の集い」を企画。先生ゆかりのみなさんが集まり、車中や昼食会場で、思い出など語り合いましょう、というものです。
残念ながら、私は、先生との接点がありません。
日点に小野前館長をお訪ねした時にこの企画を、伺いました。
いつも通される応接室に、本間先生のにこやかな写真が飾られています。
「ほら、いつも先生が、話を聞いてくださっているじゃないですか」「そうだ、そうだとおっしゃってますよ」「もう、お会いしてるんですよ」と言葉巧みに誘われ、参加と相成りました。
先生からお仲人をしていただいた方、点字を教えていただいた方、日点の旧職員、利用者など、多彩なみなさまが、それぞれにご自分と先生との思い出を語ります。
「生まれながらにして将たるタイプ」「自然に回りに人が集まってくる」
「甘いものが、お好きで、シュークリームをいただいた」等々。
お話を聞きながら、墓前に手を合わせると何だか、私も先生ゆかりの一人になったような気分になってきました。
昼食会場の市内のホテルでは、宝井駿之介師匠の講談「本間一夫伝」を聞きました。
いつもながら声量のある語りです。そして次は、多摩霊園にある後藤静香先生のお墓にお参りしました。
この静香先生については、全く知識がありません。
大分県出身。社会の欠陥をなんとかしたいという思い、弱者への温かい眼差しを持った方だったそうです。点訳をマスターし、講習を行うなど、点訳奉仕運動を展開。本間館長を支え続けた加藤善徳さんを紹介するなど、日点を支援した方だそうです。
そのお弟子さんからもお話がありました。
ここでは、墓前で指笛の演奏があり、みんなで「ふるさと」を唄いました。
指笛の音色は、風に乗って墓園全体に広がっていくように感じました。参加しなければ、体験できなかったことばかりです。また新しい出会いもありました。
みなさま、お世話になりました。
ありがとうございました。