音ボラネット事務局 のすべての投稿

No.204 石巻訪問その2

亡くなられた方々と行方不明の方々が、約5800人もいらっしゃる石巻市は、東日本大震災の最大の被災地です。18日は、百か日の法要がありました。避難所の方は「ひとつの区切りにしなければ、前に進めないことは、わかっているが割り切れるものではない」とおっしゃっていました。地震と津波によって残されたものは、瓦礫の山、そして大切な肉親や友人や、思い出の品々をなくした、深い悲しみです。

石巻の海辺の地域を見せていただきました。津波の影響を受けた地域と、そうでない地域の差は歴然としています。未だに信号はストップしたまま、警視庁のお巡りさんが、手信号でさばいていました。

車や船は、何か所かに集められているようで、町中に船のある光景は、みられませんでしたが、あとは手付かずの瓦礫の山。凄まじいとしかいいようがありません。私たちは、テレビや新聞等の切り取られた一部しか見ていないと思いました。

19日にビッグバンと遊楽館を訪ねました。大活字本の寄贈には、「こんなに大きな読みやすい本があるのですね」と喜ばれました。私は何か弱視者専用のような錯覚をしておりましたが、高齢者にも、最適だと実感しました。介護を必要とする高齢者の避難所、遊楽館から、寄贈依頼があったのには、なるほどと思いました。話題作や人気作品が主です。

さて、この度は、「高齢者・障害者への情報支援」が主目的で、読み書き支援へのニーズを知りたいということでした。しかしまず、大勢の被災者のいらっしゃる避難所の中で、障害者、特に視覚障害者を捜し出すのは、困難です。今後、仮設住宅等に移られてからの支援が課題かもしれません。やはり、曜日や日にちを決めて定期的に通うことが、一番です。

難しいのは、個々のニーズがあって、全て一律にはいかないということです。結果的に、ボランティアの押し付けになっているようなことがあります。

ある人が言っていました。何にたいしても、ありがとうとしか言えなかった、かつての視覚障害者のような人がたくさんいると。

現場に行かせていただいた感謝の気持ちの一方で、何もできなかった自身の無力さを、かみしめています。

No.203 石巻訪問その1

18日朝、東京から新幹線で仙台に向かいました。仙台駅で「日本盲人福祉委員会」震災対策本部の加藤俊和事務局長、仙台朗読奉仕の会の長久保明美さんと合流しました。長久保さんは、音ボラネットの総会の折、ぜひ地元のみなさんにもご一緒していただきたいと言う私の呼び掛けに答えてくださった方です。

彼女のお薦めで地元の駅弁を買い、レンタカーで移動です。日本三景のひとつ、松島で海を眺めながら、お弁当をいただきました。復活した遊覧船が行き交い、若者がヨットを楽しんでいます。地震とか津波の影響は、初めて訪れた私には、ほとんどわかりません。同じ松島でも、東松島とは、雲泥の差だそうです。

一泊二日で2つの避難所を回るスケジュールです。時間的余裕がありません。しかし、被害の大きかった野蒜地区を、ぜひ通ってほしいという長久保さんの提案があり、立ち寄らせていだだきました。言葉がでません。

瓦礫はだいぶ片付けられ、一ヶ所にまとめられたりしている所もあります。かろうじて土台だけ残っているので、家があった場所だとわかります。かと思うと、遠目に数軒の家が立っています。近づくと中はめちゃめちゃ、津波が家の中を通り抜けたのです。カーテンが風に揺れていました。異様な光景です。ここの住人は、無事だったのでしょうか。

途中にも、片付けられて一見グランドのようにみえる所がありました。集落の跡だそうです。赤茶けた大地にポツポツ緑が見えます。雑草です。高速道路も、あちこち亀裂が入り、段差ができていて、車がボンボン跳ねます。ETC1000円割引が19日までだったこともあり、渋滞していました。大分、佐世保、京都、姫路、大阪あらゆる所からの車です。

18日は、石巻市内で百か日法要が営まれるため、私たちの予定も変わりました。

まず、ビッグバンに向かいました。そして、初日は建物の確認とチラシ配りということになりました。目的地のひとつ河北総合センター(ビッグバン)は400席もある、ホールがあり、毎日のようにイベントが目白押し。例えば掲示板には、各種炊き出し、マグロの解体ショー、歌謡ショー、カットボランティア等々のポスターやチラシが所狭しと貼ってあります。私たちの「復興支援イベント」のチラシも掲示されていました。

こちらには、未だ400人近い方々が、不自由な生活を送っています。事前に責任者の方に伺ったところ、館内はスリッパ等に履き替えなくてもよい、チラシ等は、被災者のみなさんは、ほとんど「部屋」にいるので、入っていって配ってよい、と言われていました。

玄関をはいり、居住区域にスニーカーのまま足を踏み入れようとして、わたしは前に進めなくなりました。足が動かないのです。被災者のみなさんへの想像力を働かせ、心に寄り添わなくては、お話など伺えません。

No.202 事務局

運営委員の公募に手を挙げてくれた新しい3人を迎え、2011年度1回目の運営委員会(例会)を開きました。今まで、各自がそれぞれのグループに所属し、そこでの活動もこなしながら、事務局の運営に関わるのは、想像以上に大変なことでした。 また、親も高齢化し、介護が必要になってきたり、自身も体調を崩すことが、増えたりの中で、活動を続けてきました。

そんな状況もあって、月2回の例会に全員が集まることは皆無で、議事がスムーズに進まないことが出てくるようになりました。設立から5年、全国組織を回していくために、今まで以上に、各自が自覚と責任を持つことが求められています。そのため、例会は月1回のみ、役員会も1回として、全員出席を最低条件にして、活発な討議の場とすることを再確認することからスタートしました。

また、各種の運営をさまざまな形でサポートしてくれる事務局スタッフも揃いました。今後、会報の発行やホーム・ページの管理・運営はますます重要になってきます。その充実のためにも、新しい人たちの斬新なアイディアに期待したいと思います。当初から関わっている私たちも、刺激を受けながら、ますます頑張ります。

ところで、みなさまあっての事務局です。いつもこちらからの発信のみではなく、みなさまからの情報、ご意見・ご提案等もお寄せください。

No.201 読み書き支援員養成講習会

7月2日(土)〜3日(日)にかけて行われる、読み書き(代読・代筆)支援員養成のための基礎講習会には、もう申し込みをなさいましたでしょうか。当ネットワークの過日の総会で、事務局の市橋さんが、出展でチラシを配り、懇親会や分科会でも、熱心に参加を呼び掛けておりました。

結果、すでに申し込みが続いていますが、まだ若干、席に余裕があります。有料ですが、私は、まったくの無料というよりは、こちらの方が学ぶ姿勢が違うように思います。みなさまはそんなことがないかもしれませんが、真剣みが増します。そして、修了証も発行されますが、これも、魅力です。

さて、読み書き支援員といっても、音訳初心者ならいざ知らず、私たち音訳者にとって改めて講習を受けなくても、即戦力になるのにという思いが、正直ありました。しかし、声を出すという基礎、滑舌だとか発声、発音はさておいても、大事なことがあるのです。いわゆる、対面朗読の一種ですが、娯楽や趣味で一冊の小説を読むということとは違います。

私信や役所からのお知らせ、各種チラシや取り扱い説明書等々、正に生活情報そのものです。書かれていることを、すべて読めばいいというものでもありません。 私たちが常日頃、気を使っている母音の無声化や鼻濁音が必ずしも、必要というわけでもなさそうです。高齢者には、聞き取りにくいこともあるようです。

ですから、音訳であって、音訳でない部分もあり、守秘義務のことなども考えると、やはり一度、系統だった講習を受けるべきでしょう。目から鱗の部分があるはずです。

私たちの総会のテーマでもありました「広がりをみせる音訳」、正にそのものではないでしょうか。ぜひ、一緒に学びましょう。

No.200 総会も無事終了

盲導犬を連れた利用者が、何人か参加してくださることになっておりました。やはり気掛かりは、梅雨時の空模様です。偉大なる晴れ女、晴れ男のみなさんのおかげで(因みに私は、雨女です)、お天気にも恵まれました。

二日間の全日程を無事終了できましたこと、みなさまのご協力の賜物です。お疲れさまでした。そしてありがとうございました。今総会で、一番嬉しかったことは、岩手、宮城、福島のみなさま、その他大変な中、参加してくださったたくさんの方々のお元気な姿に接しられたことでした。そして、利用者のみなさま、図書館館長、職員、社協、出版関係の方々にもおこしいただきました。

会場内が寒かったと言う人と暑かったと言う人がいました。一事が万事、全ての人に満足していただけることはあり得ません。 しかし、多くのみなさまが、「広がりをみせる音訳」の世界の情報をたくさんもらった、と喜んでくださいました。

また、「音ボラネットの成長した姿を見せていただけました」との声には、全国組織の運営などということには、まるで素人の主婦集団がやってきたことですので、みなさまと共に、ここまでこれたことに感謝いたします。

ところで、この音ボラネット立ち上げの頃、「図書館があるのに、音訳ボランティアが集まって、何をするのだろう」という声が図書館関係者からあがっていたそうです。

私たちひとりひとりの力は小さくても、関係諸機関のみなさまと連携をして、大きなネットワークになった時、利用者の生活の質の向上が、一段とはかられるのではないでしょうか。

尚、総会の詳細につきましては、7月下旬発行予定の報告書をご覧ください。すでに、総会終了の翌日から、事務局の川上は、アンケートの集計をしております。また、当分忙しくなりそうです。

No.199 コンサート実行委員会

一年は、あっという間です。今年もまた、杉並の視覚障害者支援総合センター主催の「競い合い、助け合うコンサート2011ー羽ばたけ視覚障害音楽家たち」の実行委員会がひらかれました。

会場のセシオン杉並で出演のみなさんと舞台に立ってみました。座席からみるより、はるかに奥行きのある舞台です。開催日は9月10日の土曜日です。11月は催事が目白押しです。私自信も何とか11月は避けてほしいと申し上げてありました。

10月が、第一希望だったそうですが、予定がいっぱいでとれず、例年になく早い時期の開催となります。有料であれ、無料であれ、会場をおさえるということは、実に大変です。

さて、出演者ですが、沖縄のソプラノ歌手 読谷山こずえさん、箏曲家の澤村祐司さん、、筑波大学附属特別支援学校ハンドベルクラブのOG会「あかね」、女性コーラスのコール・トゥインクルスターのみなさんです。

またまた、みなさまには、ご協力をお願いすることになりますが、応援の意味もこめ、ぜひよろしくお願いします。今から9月10日を予定していただけると、幸いです。

No.198 被災者支援

「読み書き(代読・代筆)支援員養成基礎講習会」のことは、以前に書きました。同じくNPO法人大活字文化普及協会では、東日本大地震被災者支援事業として、「読書・読み書き(代読・代筆)キャラバン」を実施することになりました。

このことで、事務局長の市橋さんと事務局の三橋さんにボラセンでお目にかかりました。市橋さんは、精力的に動き回っていますが、現実にこういう方がいないと、ものごとは進んでいきません。

まして、新規事業を行おうとするなら、まず、回りの理解を得ながら、協力者を作り、実績をあげていかなければなりません。なかなか大変です。ご苦労はよくわかりますので、応援できることはしましょうと、申し上げております。みなさまのご協力もよろしくお願いいたします。

さて、被災地の各施設が希望する図書を寄贈。更に、読書・読み書きを行うキャラバン隊を、派遣。図書コーナーの設置や読み聞かせボランティアや行政手続きなどの読み書き支援を行います。

まずは、6月18日〜19日に、宮城県石巻市の障害者・高齢者の福祉避難所である、遊楽館に伺う予定です。視覚障害者も何人かいらっしゃるようです。

私たち音ボラネットも、後援団体のひとつです。なにができるか、わかりませんが、私も参加させていただこうと思っています。とりあえず、現場に出向くことでしか見えないことがあります。そこでの出会いも、大切です。こういう機会を作っていただいたことに感謝しながら、伺いたいと思います。

しかし、継続的支援が必要なことだと思います。できれば現地の方々にご一緒していただけると、ありがたいです。毎回、東京から通うのは難しいことですので、ぜひ、地元のみなさんに協力していただければと思います。

No.197 総会も間近

千葉県立中央図書館から西部図書館に移動になった松井進さんと打ち合せをし、「ベルナのしっぽ」でお馴染みの郡司ななえさんともお会いしました。

総会の準備も最終段階に入っていますが、何で、と思うようなことが毎日、発生します。でも、事務局全員が、体調不良を吹き飛ばし、家族の介護を蹴散らし、団結して頑張っています。

さて、このような時なので、参加者は減るだろうと予測しておりました。しかし、いつものとおり、北海道や九州、そして嬉しいことに東北からも申し込みがあります。

また、会員の他に、図書館、社会福祉協議会、出版社のみなさん。そして、視覚障害教師の会の元代表山口通さん、ゆいまーるの会(視覚障害医療従事者の会)の福代表藤原義朗さん、元都立中央図書館の田中章治さん、毎日新聞社デジタルメディア局の岩下恭士さんなど利用者のみなさん等々、多彩な方々が参加してくださいます。総会はあくまで会員だけのものという考えもあるかと思います。

しかし、当音ボラネットは、来るもの拒まず、開かれた組織ということでやってきましたので、参加したいという方があればいつでも、どうぞとご案内してきました。この度の総会も、私たちの活動を知っていただく、いい機会だと思います。そしてこういう方々と、今後、何か協力しながらできることがあると思います。

「連携」ということを、言い続けてきましたが、まずは、顔と顔を合わせることから始まると思います。

No.196 山口先生のこと

「テープ版読者会」の総会に参加した折に「全国視覚障害教師の会(JVT)」の元代表、山口通さんと同席しました。数年前に、JVTの賛助会員でもある、音ボラネットの事務局の平井に紹介されたのが、始まりでした。私たちの総会で、出版された「教壇に立つ視覚障害者たち」を、販売してもらったこともありました。

また2年ほど前からは、暮れに都内で開かれるJVTの集まりのお手伝いもさせていただいております。人というのは回を重ねて、顔を合わせることで、お互いの理解がぐっと深まります。

ところで、一昨年にNHKテレビで放送されたドラマ「チャレンジド」の続編が、できました。5月14日(前編)と21日(後編)に放送されます。山口さんは、このドラマに1年にわたり、取材協力をしてきました。私も何回か、みましたが、よくまとめられていると思いました。

こういう形で取り上げられて、視覚障害教師のみなさんを取り囲む現状とご苦労が広く伝わり、理解の一助になればと思います。今回も一人でも多くの人にみてもらいたいと思います。(当方、けっしてNHKの回し者ではありません)

さて、この山口さんが、私たちの総会に関心をお寄せくださり、懇親会にも参加してくださることになりました。この他にも今回、各方面の方々が、興味をもたれ、詳細をと言われるので、会報や総会案内等、お送りしてあります。当日の参加不参加は、別にしても、私たちの活動を知っていただくことから始まります。全て連携です。

総会まで1ヶ月を切りました。みなさまとともに、元気に、有意義な会にしていきたいと思います。

No.195 読み書きサービス支援員養成講習会

高齢者や障害者等の読み書きに困難を伴う人のために、必要な資料の代読や代筆等を公的なサービスとして行うことを目的として、高度の専門性を有する読み書きサービス支援員を養成する。

上記のことを目的とする講習会の日程が決りました。7月2日〜3日です。実施までの最大の難関は、会場を確保することです。無料で、しかも2日間連続でというのは、経験上とても難しいものがあります。

力強い助っ人がいらっしゃいました。元品川区議の三上博志さんです。昨年12月に開催された「全ての人が読書・読み書きができる方法を考える」シンポジウムにも、参加。 その後、区議会でも、取り組みへの提案をなさった、大変熱心な方です。おかげで、品川区から会場の提供も受け、短期間で実施の運びとなりました。

小中一貫校で昨年開校したばかりの、品川区立荏原平塚小学校の視聴覚室をお借りすることになりました。見学させていただきました。当然ですが、明るくてきれいです。さぞや講習会もはかどることでしょう。その後、打合せがありました。

中でもちょうど、被災地から戻られた加藤俊和さんの厳しい現地の報告には、心痛みました。被災された視覚障害者のみなさんは、正に今、読み書きサービスを必要としているということです。そして今後、長期的に、サポートが必要ということでした。

被災地のみなさんはもちろんのこと、たくさんの方々が、この「読み書きサービス」が受けられますように。

この度の品川区の例のように、行政のきちんとした理解とバックアップが増えることを期待します。尚、講習会に関する問い合わせ先です。

NPO法人大活字文化普及協会事務局080ー4071ー9402

よろしくお願いします。