1月29日、東武亀戸線の小村井にある墨田区立あずま図書館に、事務局の鶴岡と、山内薫さんをお訪ねしました。山内さんも多忙を極めている方で、なかなか調整ができません。朝9時の訪問でようやくお目にかかれました。
1969年からあずま図書館に勤務、障害者サービスだけではなく、児童サービス等あらゆる図書館サービスに尽力されてきた方です。徹底して利用者の要望に応える姿勢は、図書館職員のみなさんのみならず、私たち音訳者も学ぶべきところがあると思います。
さて、6月の総会の折りの分科会の一つに「図書館との連携を考える(仮題)」を企画しています。パネルディスカッションを予定していますが、パネラーのお一人としてお招きしたいとお願いするために伺いました。
著作権法改正後の公共図書館は、どう変わったのか、ぜひ伺いたいものです。音訳者と図書館との連携について、また障害者サービスに対する図書館職員の姿勢等、質問させていただきました。
音訳者だけというのではなく、利用者と一緒にというのが大切ですと。また、色々なことに気づいていない人たちに気づいてもらうための努力も大事だが、先ず今、気づいている人たちと関係していくことが大切ともおっしゃっていました。示唆に富んだお話を種々、伺いました。分科会が楽しみです。
ところで、「山内薫さんのさらなる活躍を祝う会」が3月21日、四谷の主婦会館プラザFで開かれます。日本図書館協会主催で記念講演とパネルディスカッションが予定されています。早速、私も参加申込みをしました。
昨年の暮れに読書権保証協議会では図書館による読み書きサービスの実現に向けて、第一歩を踏み出しました。25日にその第二弾として、「読み書き支援員」養成講習概要の説明会が、神田神保町の(株)大活字内で開かれました。今回も国会議員や区会議員、報道関係者がたくさん参加していて、さすが事務局長の市橋さんの手腕と感じ入りました。こういうことを広く知ってもらうには、マスコミの力を借りるのが第一ですし、予算面からも行政の後押しがなければ活動も、ままなりません。
ここで利用者として、元都立中央図書館の田中章治さんと、支援員役の元京都ライトハウスの加藤俊和さんとで実際のサービスの様子をデモしてくれました。 そして、私も賛同団体の代表ということで挨拶させていただきました。
今、一からこの支援員を育てるのは時間もお金もかかるので、読むというスキルのある、そしてすでにこのサービスを実践している音訳ボランティアに、うまく協力してもらえる方法を考えるのが先決ではと申し上げました。
またあるところで「読み書き支援」が音訳ボランティアと、どう関係あるのかと言われました。何も音訳というのは本を読むだけではない。私たちの訓練された読むという技術が生かせることなら、色々なことに協力していくべきではと話したところです。
一昨年一月「マンガも読んでみよう」で事例発表し、おおいに会を盛り上げてくださったYAクラブのみなさんを覚えていますか。その何人かが参加している「こうばこの会 語りの花束」が22日、都内杉並で開かれました。かんこさん、たらこちゃん、しろちゃんと懐かしいみなさんの熱演でした。
まず、かんこさんの「カスパーシアター」は必見です。ドイツ在住の時に出会ったカスパーくんという男の子が主人公の人形劇で、本場ドイツでも大人気なのだそうです。何人もの登場人物(動物のこともあり)の声を使いわけるのは、マンガも台本なしで、実に楽しそうに読んでいたこの方の真骨頂でしょう。視覚に障害のある人もない人も、一緒に頑張り、一緒に楽しむ、いい企画でした。
会場にも障害者の方がたくさん参加していました。点字をかなりのスピードで指で追いながら口を動かす人、点字が得意でない人はイヤホンで聞きながら口を動かす。いずれも聴いているだけでは、見える人と遜色がありません。一人語りと複数語りがありました。いずれも難しいところはあるでしょうが、複数語りは間の取り方とかが問題でしょうか。まず一人で練習してその後、合わせる練習を何回かしましたと二人語りを披露してくれたしろちゃんが教えてくれました。
何といっても、こちらのみなさんの良さは、視覚障害の人もそうでない人も、生き生きと楽しみながらやっているというところでしょう。実にいろんな活動があります。こちらも楽しませていただきながら、いろいろな気付きがあります。
フルタイムで働いている方から年に4〜5件、「音訳をやりたいが、どうすればいいのか」と問合せがあります。以前は私たち事務局がお世話になっている東京都のボランティアセンター(ボラセン)にまず連絡があり、そこからの紹介がほとんどでした。今では、「音訳について、インターネットで調べてみようと思ったら、そちらのホームページを見つけました」というケースがほとんどです。その回答としては、最寄りの図書館や社会福祉協議会にお尋ねくださいとお伝えしてきました。でも、せっかく今、音訳をやりたいと言ってきている人を、どこかにつなげられないものでしょうか。メールで何回もやり取りするより、視覚障害者を取り巻く様々な現状を話し、少しでも音訳への理解につながればと、直接おあいすることにしました。
1月16日には若い女性、22日には51歳の男性とボラセンでお目にかかりました。 お二人とも真面目で、お役にたてることがあればという思いが伝わってきます。しかし音訳は、思いがあっても、すぐにはできるものではないということに、まず戸惑うようです。視覚障害者の目の代わりですから、そう簡単ではありませんね。
通常の音訳講習会は、夜間や土日に開催されるものはまず、ないといっていいでしょう。カルチャースクールはあるかもしれませんが。また、それぞれの開催予定が、いつでもだれでもがわかるような状態になっていません。更にたとえこの講習会がクリアできたとしても、その後の活動をどうするかということになると、これまた難問です。そもそも、主婦が支えてきた活動ですから、すべてが主婦の動きやすい曜日や時間帯になっています。
しかし、ここにきて、音訳者も高齢化してきています。若手新人育成のためにも、見直しが必要な部分がでてきているように思います。お二人とも、「ホームページだけではわからなかったことがわかったし、藤田の思いも、よくわかった」 と。音訳の奥の深さに驚きながら、再度情報を集めてみたいとおっしゃっていました。ひとつの出会いを大切にしながら次につなげられる道を、模索していきたいと思います。みなさま、このことについて何かいい考えがありましたら、ぜひ教えてください。
視覚障害教師の会の拡大役員会(12月26日・27日)の開催にあたり音ボラネットの事務局の平井を通してサポート依頼がありました。この会は年2回大阪と東京で開かれているものです。そして夏期研修大会があります。今回は各地から20人ほどの先生が参加されていました。
さて26日は、平井とそのグループのみなさん、27日は、同じく事務局の泉、藤田、そして娘までかりだしました。会場は宿泊も可能な東京都身体障害者総合スポーツセンターです。主な内容は講演会や会議、教科別交流会、そしてオプションとして街に出て落語鑑賞や食事会などもあります。私たちのお手伝いの主なものには、食事の案内、移動の付き添い、トイレの案内等があります。暮れの混雑している池袋に出ました。シャトルバス組と電車組に分かれてしまいました。食事会の会場や演芸場にご案内するのは、少し不安でした。下調べが必要だったかもと思っていると、猫の手の娘が頑張ってくれました。こういう時、機転のきくフットワークの軽い若い人は、いいなあとしみじみ思いました。話がそれましたが、以下、私が感じたことです。
単純には比較できないそれぞれのご苦労があります。しかし、見えない先生が、見えない子どもたちを教えるのと、見えない先生が、見える子どもたちを教えるのとではやはり、後者の方がより困難を伴うと感じます。視覚障害の先生方がその良さと力を発揮するためには、現場の校長先生以下、回りの先生方の理解と協力が不可欠です。でも、なかなか厳しい現状もあるようです。
そういう中にあって、あるベテランの先生が、一人ひとりがスキルアップへの努力をする、そして一つでもキラリと光るものを持つことが大切とおっしゃっていました。感動しました。このことは、障害があるとかないとかに関わらず、私たちにも言えることではないでしょうか。視覚障害の先生が普通校の教壇に立つために、その先生をサポートする複数のボランティアが必要だと思います。日々の教材やプリントを読む人たちです。ここで思うことですが、もちろん十分ではない小説等を読むことも大切です。しかし一人ひとりが自立した生活を送るために、生活情報や専門情報もまた必要なのです。ある先生がおっしゃっていました。特別上手でなくていい、早く読んでほしいと。
ベテランの先生ともなるとご自分でそういうボランティアをみつけ上手にサポートしてもらっています。でも若い先生やあまり行動力のない先生は、どうしたらいいのか悩み孤立しそうなケースもあるようです。すでに京都の福知山の先生がサポートを探しているようです。今、京都の方々にお尋ねしているところです。情報をお寄せください。
12月23日、日本リハビリテーション協会主催の報告会「DAISY教科書を活用した読みの困難な児童・生徒に向けた支援」が開かれました。マルチメディアデイジー図書の製作(音声のみ)に協力している私たち音ボラネットIMDプロジェクト事務局6名全員での参加でした。 学校の先生、保護者、教育関係者等の事例報告がありました。会場戸山サン ライズ大研修室一杯の参加者でした。中には、顔見知りの音ボラネットの会員や図書館職員もちらほら。神戸、奈良等遠方からも参加していました。
主催のリハ協では、「教科書バリアフリー法 と著作権法の改正により、ボランティア団体の協力を得て、通常の教科書が読めない小・中学校の児童・生徒にDAISY形式のデジタル教科書を提供。今年の10月からはネット配信も始まり、無料でDAISY教科書が手に入る環境が整った。
しかし、来年度の教科書改定や製作ツールの整備など、ボランティアベースでは解決できない課題も抱えている」現状だそうです。 現場の先生の工 夫をこらした実践報告の中で「音読練習で音声ガイドを聴きながら、声を合わせて読む場面で、声が選べたらいい、つまり聴きとりやすい声がいいという希望が出た」と言われていました。音訳者として身につまされますね。
さて、中でも LD、ADHD児童の保護者のかたと兵庫県LD親の会「たつの子」代表の方の報告には、たぶん参加者全員が現状の厳しさを感じたことと思います。 当事者体験、そうしたお子さんをお 持ちの保護者、特にお母さんの叫びにも似た切実な声は、万人の心を打ちます。
「親子ともにパソコンが苦手だった。アイフォーンでDAISY教科書が使えるとわかった。今では、アイフォーンが家庭での教科書。画面を見ながら音を聞く。どこでも見たいときに見ることができる。勉強はまだまだ苦手。しかし勉強はしたい、という風に本人が変わってきた」と言われていました。
さて、広く一般に向けた啓蒙啓発の意味で のこのような催しに、さまざまな立場の一人でも多くの参加を願います。 最近、このような催しに区議会議員や都議会議員、国会議員の参加がみられるようになりました。最終的には、国からの支援なしには成り立たない分野です。国をも巻き込む活動が必要になってきます。
12月16日ボラセンで、NPO法人大活字文化普及協会事務局長の市橋正光さんとお会いしました。 そして、さまざま情報交換をさせていただきました。そこで市橋さんから、同協会の賛同団体にという申し入れがありましたので快諾しました。名を連ねることにより主宰者はもちろん他の 賛同団体とも連携が深まることを期待します。このことに関連して一言つけ加えます。
皆さまがあちこちで音ボラネットの名前を目にすることで「私たちの音ボラネットがこんなことにも協力してる、こんなところでも頑張っているんだ」と言う風に思ってくださり、励みになってくれたらと思うからなのです。 以前、何かのパンフレットの中に「音ボラネットの名前を発見。嬉しくなってメールをしました」という地方の方がいました。
さて、話を戻します。同協会が進めている「読み書きサービス」という制度のことです。すでに各地で、音訳ボランティアがこのサービスの内の代読を行っています。主に二人一組で自宅に伺い、正に生活情報を音訳(代読)しているわけです。すでにある、この活動をどう捉えるのか。理想は理想として、現実との折り合いをうまくつけていかないと、せっかくのこの度の取り組みがスムーズにいかなくなることがあったとしたら残念なことです。図書館関係者はもちろんのこと、社協やその他多くのみなさんと協力しながら進めていっていただきたいと思います。もちろん私たちができる協力は喜んでさせていただきます。
12月6日、都内で大活字文化普及協会主催のシンポジウム「全ての人が読書・読み書きできる方法を考える」が開かれました。午後外せない私用のため午前のみの参加となりましたが、大変有意義な会でした。
全国の図書館で視覚障害者や高齢者など、読み書きに困難を伴う人のために代読や代筆のサービスを行っていこうというものです。 主に日常生活上必要な地域の回覧物、家電や携帯、パソコンなどの取り扱い説明書、手紙や貯金通帳等々の代読。各種申込書、手紙や宛名書き等の代筆です。
数少ない例ですが、すでに墨田区では図書館職員が自宅を訪問してサービスを行っています。ここには障害者サービスに熱心に取り組んでこられた山内薫さんがいらっしゃるからだと思います。 ところで読書権保証協議会会長の岩井和彦さんは、「情報にアクセスする権利や読書する権利が、基本的人権だとすれば、それをサポートするのはボランティアではない。守秘義務を含めた契約関係に基づく情報支援者だ」とおっしゃっていました。
何でもかんでも、無償のボランティアでいくべきだとは思っていませんので、大変興味深く伺いました。 「声に出して読み上げる」という技術を持っている私たち音訳者が協力できる分野です。どんな形で協力できるのか考えていきたいと思います。
すでに自宅を訪問して対面朗読をしている音訳ボランティアのみなさんがいる現状もあります。ですからボランティアではだめだというのではなくまずは、地域の活動を大切にしながら、少しづつ理想に近づけていけばいいのではないでしょうか。 ともかくせっかくの取り組みです。いろいろな人たちを巻き込んでいくべきです。特に多くの図書館関係者に周知していくべきではないでしょうか。
地下鉄押上駅から地上に出たとたん、一年ぶりにすでに地上500メートルに達した、スカイツリーとご対面です。カメラを構えた人の列が続きます。
この地で12月4日、すみだ録音グループ「声」のみなさんによる朗読会が開かれました。ずいぶん前からご案内をいただいておりましたので、日程調整がスムーズにいきました。 視覚障害者も含め会場一杯の200人が参加、盛会でした。
古典から現代物、そして落語とバラエティに富み、聴衆をあきさせません。衣装というほど凝ったものではありませんが、こちらも工夫しています。
全体を通して感じたことは、「配役の妙」ということです。例えば、源氏物語の葵上は、初々しくはかなげな風情を表せる人、源氏の君は、やはり男性なので声の低いというか太い人、年上の愛人六条御息所は、嫉妬心と哀しみを表現できる人をきちんと選んでいます。声質や年齢等に合わせて役を振り分けるコーディネーターの役は大切です。通常の音訳でも 、公平で中立の立場の人がいてその都度、読み手を選ぶことができるのが理想ではないでしょうか。 読み手によって印象がガラリと変わってしまいます。
さて個人的に一番楽しませてもらったのは、有川浩作「阪急電車」でした。主に阪急電車今津線車内が舞台で、乗り合わせた客の会話で話が進んでいきます。5人の朗読者全員の関西弁がなめらかで、違和感なく物語の世界に引き込まれました。 ある人はアクセント等、関西の友人に教えてもらったそうです。この「声」の何人かのみなさんとは親しくさせていただいていますので、なんとなくわかるのですが、それぞれの人柄にあった役を振り分けられているなと感心しました。
さて、日頃は区の刊行物等を音訳しているグループの娯楽性溢れる朗読の舞台に対する視覚障害者の生の声が聞きたいと思いました。
尚、会場で何人かの方とお話ができて、嬉しかったです。この出会いがまた次につながっていったら幸いです。
12月1日、伊藤忠記念財団の矢部さんと高根沢さんを都立文京盲学校にご案内しました。私たちが協力しているマルチメディアデイジーの寄贈先が盲学校を含むすべての特別支援学校です。
文京盲の澤田校長先生は盲学校校長会の会長を務められています。 一度、矢部さんたちと、今回の取り組みのご案内かたがたご挨拶にと思っておりました。半年間、懸念事項だったことが、その日のうちに解決したと矢部さんから連絡がありました。澤田校長先生が即刻、手配してくださったようです。
私もいつも、このことは、どこのどなたにご相談お願いすれば、事がスムーズに運ぶか考え、人脈を大切にしてきました。どんなにすばらしい取り組みも一歩間違えると、自己満足に陥りかねません。 広くいろいろなお立場の方々の協力が欠かせません。
このマルチメディアデイジーがひとりでも多くの障害児童に活用してもらえるよう、最大の努力をしていかなくてはなりません。読みはもちろんのことですが、その他のことでもお役にたてることがあれば、やらせていただきたいと思っています。
全国音訳ボランティアネットワーク通称〝音ボラネット〟のサイトです!