音ボラネット事務局 のすべての投稿

No.154 全日盲研山梨大会に参加して

7月29日30日、第85回全日本盲学校教育研究大会山梨大会が開かれました。 甲府市内の会場で、全体会、基調講演、分科会と続きます。当ネットワークでお馴染みの先生方ともお目にかかりました。さて、なぜ毎回この大会に参加なのかと聞かれることがあります。

・盲教育の専門家の集まりである。

・盲学校とは、近い将来私たちのユーザーとなる児童生徒が居るところである。

・盲学校の校長先生は毎年1/3は代わる。

・現場では、点字が中心のため、音訳物、音訳ボランティアについての知識情報が乏しいようである。

以上のようなことから私たちの存在と活動をご理解いただき、連携ができればと考えるからです。

鹿児島盲の先生から、筑波大学附属視覚特別支援学校の受験を希望している生徒のことを、伺いました。「初めてのことなのでどんなサポートができるのか。外部との連携もありとは思わなかった。連絡します」と。ぜひ協力させていただければと思います。

また、別の先生からは、「図書室には以前からのテープやCDはあるが、新たな依頼がない」ということも伺いました。 学校で教科書から学ぶのは、当然のこと。しかし、それだけで、済むわけではなく、心の成長に欠かせない良書をいかにして与えてあげるか、です。

録音図書をいち早く手に入れるためには、図書館から借りるのが一般的です。でも学校の図書室には、子供たちのためにそれらのものが、常に置かれていて、子供たちが、自由に選べるということが大切。そのためのお手伝いに、私たち音訳ボランティアをお使いくださいと申し上げました。

今回もありがたいことに懇親会の席上、ご挨拶の時間をいただきました。その後、ライトセンターを見学したことのある先生からは、「地道なすばらしい取り組みに感動しております。音訳者の皆様によろしくお伝えください」と。

またある先生からは「ご相談したいことがあります。帰ったら連絡します」と。何かお役にたてれば嬉しいです。 ここでも、回を重ね、顔と顔を会わて話すことの大切さを確認しました。

No.153 取材

パルシステム生活協同組合・セカンドリーグ支援室発行の月刊誌「のんびる」編集部から、取材の依頼がありました。7月23日ボラセンで担当の濱田さんにお会いしました。

この「のんびる」は障害者支援などのさまざまなNPO活動や社会的起業に関する情報誌です。読者は50代〜60代の女性だそうです。 広く音訳ボランティアのことを話しました。 話しているうちに、このボラセンで活動しているあまたあるボランティアの中で「音訳」というのは、かなり特殊なのではないかと思ってしまいました。

濱田さんは、当方のホームページをみてくださったり、音訳についてもよく調べて下さったようです。しかし、「音訳はなかなか奥深く、まだまだ知らないことばかりです」と言われていました。

視覚障害者の目の代わりであり、生活や学習支援のための情報提供を行うということで、対象や目的がはっきりしています。正しく情報を伝えるためには、ハンパな気持ちではできないことだと、改めて気付かされました。音訳希望者に一言申し上げるなら、すぐに何かを読めるわけではありません。間違えず、耳で聞いて理解できる読みでなくてはいけません。そのためには、まず音訳講座を受講することから始めていただきたい。苦労も多いですが、利用者の喜びの声を聞くと、日頃の努力が報われます。

さてさて私の拙い話、どんなふうにまとめていただけるのでしょうか。楽しみです。

No.152 バイオリンコンサート

7月16日、「多摩市音訳グループ繭創立20周年記念〜ヴァイオリンコンサート川畠成道の世界〜」が開かれました。(於多摩市内)

この「繭」は今年3月まで代表だった幸野尚子さんが、「個人ニーズへの対応」を掲げ、立ち上げた会です。利用者も全国に広がっています。DAISY化への取り組みも積極的でNPO法人DAISY TOKYO(現在は別団体)も立ち上げました。

また今では、広報や選挙公報等の行政関連の生活情報の音訳でも実績が認められています。音訳者としても会の運営者としても大先輩である幸野さんとお話ができました。 東京都朗読指導員養成講習会講師の恵美先生、デイジー所沢の石井さんたち、ディジー淡路の安岡さんともお話ができました。その他にもお声をかけてくださったみなさま、ありがとうございました。

こじんまりした会場でしたが、満席で、アットホームな雰囲気でした。ひときわ印象に残った曲はヴァイオリンらしさが一番伝わったショパンのノクターンでした。日中の暑さが吹き飛んだ爽やかなひとときでした。

No.151 IMDグループ

伊藤忠記念財団からマルチメディアDAISYの音声部分への協力依頼をいただいてから、数ヶ月過ぎました。このための集まりをすでに数回もっています。

7月16日も打ち合せをかね、財団を訪問しました。長く青少年の育成事業を行ってこられたところですが、マルチメディアDAISYを製作し、全国の特別支援学校に寄贈するという今回の試みは初めての取り組みです。 こちらもマルチメディアDAISYをきちんと理解しているわけではありません。お互いにかなり手探り状態な面があります。

しかし、障害のある小中学生に良書を届けるということ、初の企業とのコラボレーションであるということ、音声のみという全くの分業であるということから、お引き受けすることにしました。ただ音ボラネットの事務局では、負担が大きすぎて、現状ムリ。 先ず核になってくださる方を事務局外から探すことになりました。

都内から数名、私が、個人的に知っている方に、無理を承知でお願いしました。事務局の中に 伊藤忠記念財団マルチメディアDAISYグループ、IMDグループが立ち上がりました。 そして、 出版社から許諾のとれている5冊を音訳することになりました。先ず急ぎ試作品として、1冊読み上げ、マルチに編集してもらいました。

読み方は、通常の意味のひとくくりという、音訳読みではありません。かなりゆっくりな読み方で、できるだけ明るく若々しい読み。とりあえずは以上のことを基本に、書かれていることはすべて読むこととする。現時点での完成品をお手本に残り4冊を読み上げ、編集に回して出来上がったところで再度、検討会を開く。ここで共通認識のためのマニュアルのようなものが作れればといったところでしょうか。

その都度、訂正や変更がでてくるといった柔軟性を持たせたやり方をしていきたいと思っています。 役割分担も最低限の書記と会計を決め私が、まとめ役を引き受けました。今後の展開によって、みなさまにご協力をお願いすることになるかもしれません。その節はよろしくお願いします。

No.150 講演会「子どもと本の出会いのために」

7月3日都内で、(財)日本障害者リハビリテーション協会主催の講演会「子どもと本との出会いのためにー誰もが読める絵本」が、ありました。通常の印刷物が読めない子どもたちには、紙媒体の本は、ほとんど意味がありません。点字だったり、録音図書だったり、マルチメディアDAISY図書だったり、さわる本だったりと、それぞれのニーズに応じた様々な本が重要になってくるわけです。

スウェーデンのアニカ・ノーバーグさん、布の絵本の野口光世さん、渡辺順子さん、マルチメディアDAISYの野村美佐子さんからの話を興味深く伺いました。それぞれに大変な努力をおしまず、そこに困っている子どもたちがいるという一点で、頑張っている姿に感動しました。

特にアニカさんはスウェーデン国立録音点字図書館で、さわる絵本を製作しています。スウェーデンと日本とでは、比較にもなりませんが、特に福祉に関する日本の行政のありようを痛切に考えさせられました。いつまで、どこまでボランティア任せにするのでしょうか。

ところで、現場でのさわる絵本作りは、さまざまな工夫、苦労の積み重ねでできていると思いました。 例えば、ブルナーのミッフィーの話。お父さんが横を向いてたくさんの花に水やりをしているシーン。さわる絵本では、真正面を向いて水をやり、花もひとつ。まずはすべての絵を単純化します。ただの形当てではない。大切なことは絵本を理解し読書を楽しむこと、と言われていました。 ここでも、顔馴染みの音訳ボランティアの何人かにお会いしました。

No.149 成松さん訪問

読書工房の成松さんを都内の事務所にお訪ねしました。学生時代からボランティアをやってた方です。出版UD研究会を主宰されています。誰でも読める・楽しめる読書環境をめざして出版のユニバーサルデザイン(UD)を考える集まりです。

この度の伊藤忠記念財団の新規事業に対して音ボラネットを推薦してくたさいました。 今後このような協力依頼が多くなると思われます。 「ディレクターに当たる人、キャスティングや読み方のディレクションができる人をどのように養成すればよいのか。マルチメディアDAISYをはじめこれからいろいろな種類のデジタルトーキングブックがいろいろな立場で制作されていく可能性があります。

どのような分業体制が望ましいのか、考えていきましょう」と言われました。役割分担について真剣に考えていかなくてはならないと思いました。

No.148 見学会

パソコンインストラクターであり、マルチメディアDAISY作製のグループを立ち上げている西東京市の片岡さんと、ある集まりで名刺交換させていただいたことがありました。音訳者と交流したいと言われ、音ボラネットの個人会員になってくれた方です。

「音訳者が現場でどんな活動をし、DAISYをどんなふうに作っているのか、ぜひ見てみたい。どこか紹介してもらえないか」と連絡があったのはだいぶ前の話です。ほとんどのグループが自前の活動場所があるわけではないということが、一番のネックでしょうか?引き受けてくれるところが見つかりません。

そんな中、葛飾音訳ボランティアの会の鶴岡さんが二つ返事で引き受けてくれました。 当日6月14日片岡さんと同行の鎌田さんと一緒に、私も見学させてもらいました。

ここは金町駅前の複合施設の中にオープンした、区立中央図書館です。録音室の他に作業や学習のための部屋もあり充実しています。パソコンでダイレクト録音をしている人たち、DAISY編集の練習をしている人たちとそれぞれ分担しての活動をしていました。

片岡さんたちは活発な質問をしながらボランティアが日々の活動にいかに真摯に取り組んでいるかよくわかったと、感想を述べていました。

今回のことをとおし、机上での情報交換だけではなく、おたがいに活動現場を見学しながら交流することも必要ではないかと思いました。

最後に館長さんや障害者サービスの担当の方にお目にかかりました。 「本当に熱心に活動しているみなさんをしっかりサポートしていきたい」と語っていました。地域にしっかり根をはり図書館からも信頼を寄せられている葛飾音訳ボランティアの会のみなさんから、いろんなことを教わった半日でした。

No.147 電子書籍端末

今月12日、第28回出版UD研究会の「電子書籍端末をさわって見くらべよう」に参加しました。いつものとおり、都内はもとより広島、大阪、仙台など遠くから、また出版、新聞、教育関係者、視覚障害者等、いつもながらの多様な方々が集まっていました。これがこのUD研究会のよき特徴となっていると思います。

さて私はアマゾンのキンドル、ソニーのリーダー、アップルのアイパッドくらいしか聞き覚えがないのですが、こんなに多くの端末が出ていることが、驚きでした。大きさも重さも様々です。この頃は、電車の中でもアイパッドを使っている人をみかけるようになりました。パネルタッチなので、慣れていないせいか、何だか頼りない感じがします。

試用した視覚障害者の感想も全盲の方と弱視の方とでは当然ながら違います。 今後読み上げ機能がつけられるでしょう。合成音声は「とにかく読めて内容が把握できればいいという点では、まあまあ」しかし「早い安いまずい」とある視覚障害者が面白い表現をしていました。要は使い分けができればいいわけです。肉声が決してなくなることはありませんが、何だかんだ言いながらも日々進歩しているみさきちゃんとかけいこさんという合成音声にまけないように、私たちも音訳の質の向上に努力しなければなりません。

名刺交換の際に「音源を提供している方たちですね」と言われました。音訳者をそういう観点からとらえている方たちがいるということは今後の私たちの活動のフィールドは、好むと好まざるとに関わらず広がっていくと思いました。

No.146 伊藤忠記念財団

以前からお話のあった伊藤忠記念財団の新規事業の説明会がありました。財団から矢部さんと高根沢さん、アドバイザーとして読書工房の成松さん、音ボラネットの事務局の有志と都内2グループの有志数名が、ボラセンに集まりました。

障害のあるすべての小中学生のために、読書の機会を提供するという目的で、マルチメディアDAISYを製作し、全国の特別支援学校に寄贈するという事業です。教科書ではありません。子供向けの普通の読み物です。今年度30タイトルからスタートし10年間で500タイトルを目標としているものです。

私自身、マルチメディアDAISYをきちんと理解しているわけではありません。あくまでも、音声部分のみの協力をということです。私たちが長年培ってきた経験を困っている子供たちのために生かせるのならとお引き受けすることにしました。先ずは許諾のとれた階成社の5冊を音訳します。とりあえず1冊読み上げて完成品を作ってもらうことにしました。

今後に向けて、マニュアルづくりも大切になってくるでしょう。歩きだしながら考えていくことにします。「デジタル録音ができて、読みの質の高い音訳者を紹介してほしい」と依頼されています。

ネットワーク立ち上げを思いたった頃には考えも及ばなかったことが、色々出てきます。今回の企業とのコラボレーションもその一つです。声をかけていただいたことに感謝しつつ、できることを丁寧にやっていきたいと思います。

No.145 来客

5月26日、長野のやまびこ会の鈴木さんがボラセンに立ち寄ってくださいました。東京出身で日本点字図書館で活動されていたそうです。今では長野の地で、奥様と二人三脚で頑張っています。最初の全国大会からのお付き合いで「せっかくできたネットワークなので、みんなで大事に育てていきたい」といつもエールを送ってくれています。

「やまびこ会」も音訳者の高齢化が悩みのようですが、平成21年度ボランティア功労者厚生労働大臣表彰を受賞しています。(同じく千葉県、印西音訳ボランティアあしぶえとさいたま市、朗読ボランティアグループ木曜会も受賞されたようです。嬉しいことです)

「今回の受賞も、我々を利用して下さっている視覚障害者のかたたちのおかげです。今後一層、音訳の質の向上・充実をはかっていかなければと、仲間たちと誓いあっております」との言葉が心に響きました。

また地元のラジオに出演されたり、市内の選挙公報を読んだりと活躍しています。 貴重な男性ボランティアとして、今後も元気に頑張っていただきたいと思います。みなさんも、ぜひボラセンにお越しください。