音ボラネット事務局 のすべての投稿

No.109 弁論大会

10月16日、都立文京盲学校で「第78回全国盲学校弁論大会」が開かれました。過去の大会での弁論を一冊にまとめた「弁論集」を当音ボラネット事務局で音訳し、今年5月、全国の盲学校に寄贈しました。そんなことからそれぞれの弁士の生の声が聞けると楽しみにしておりました。

特別審査員に作家の阿刀田高氏、アトラクションには、全盲の演歌歌手、清水博正氏が招かれていました。結果は年長(32歳)の専攻科で学ぶベトナムからの留学生の「僕に続く後輩のために」が1位となりました。上手な日本語です。帰国してからも頑張ってほしいと心から思いました。

あとは、はからずも14歳から18歳までの若い現役生です。中でも2位の先天盲の17歳の弁論が心に残りました。赤だ黄色だ、黒だと言われても全くわからない。でも、普通の人と同じテーマで話をしたい。色そのものはわからないが、色についての知識を増やしたい。今まで取得した知識として、ユーモアを交えて黒は丹波の黒豆の黒等々披瀝していました。誰か「色辞典を作って!」という一言は彼の叫びのように聞こえました。

視覚に障害を持つ若い人たちの今を生きる「いかり」や「悩み」、その先の未来に向けての「不安」や「希望」。一人ひとりの弁論が聴く者の心を打ちます。これからも少しでもお役に立ちたいと心新たにしました。日頃、勉強会でお世話になっている「三療音訳会」の成田さんとご一緒し、共に感動した半日でした。

No.108 渡辺勇喜三先生 講演会

10月8日(木)都内も日本縦断の台風のおかげで各交通機関が大混乱。お昼頃までには、何とか突風も収まり、文京区の三療音訳会主催の渡辺勇喜三先生の講演会が無事開かれました。長く文京盲学校で教鞭をとられ、現在は日本点字委員会、、医学用語点字表記専門委員会委員長のお立場です。

三療音訳会の立ち上げからご指導下さり、今は栗原先生にバトンタッチされています。ようやくご自身の時間が持てるようになり、、取りためてある「源氏物語」の勉強を始めたいとおしゃる。その他の分野にも造詣に深く、横文字のスペルもスラスラ。すばらしい方がたくさんいらっしゃいます。

初めに音訳についての一般論、続いて医学関係文書等の音訳についてお話しくださいました。中で「物によって、あえてゆっくり読んでいるが、利用者はどんな聴き方しているのか」という質問がでました。「読み手のふつうのペースでよい。私は1.5倍速で聴いている」とのこと。ものにもよるでしょう。個人差(特に若い人と年配の人等)もあると思います。倍速ないしは3倍速で聴いている人もいます。利用者も聴き方もさまざまだと再確認しました。何事も一律ではない。答えはひとつではないことの方が多いのが音訳の世界ではないかと思います。色々な立場の方のお話を伺うたびに新しい気づきがあります。

No.107 月刊「世界」 続報

いよいよ、月刊「世界」の第1回(10月号)の音訳版が出ます。といっても、まだ、シュミレーションの段階ですが利用者のモニター希望が続々ときているようで皆さんの関心の高さがうかがえます。今現在、グループ単位で参加しているのが千葉で3チーム、都内で1チームとなっています。あとは、都内と神奈川のそれぞれのグループから単独もしくは2〜4名の方が名乗りをあげてくれています。つまり混合チームの音訳者が足りていません。

コーディネーターの千葉の松井さんとしては、最終的に6チームできると年に2回の対応となるので負担が少なく永続性が保たれると、さらなる音訳者を探しています。

私もピンポイントで、あちこちに声をかけておりますが、再度の皆さまのご協力をよろしくお願い致します。今まで快く、お引き受け下さった皆さまには、心から感謝申し上げます。

No.106 YAくらぶ 再訪

20日(日)、先月に引き続き、YAクラブの事務局を訪問しました。北上尾の駅から会員の皆さんと一緒に事務局の加藤さんの車に便乗、ログハウスへと向かいました。前回とは違うメンバー(神戸からの参加の人もいました)も加わり、またまたテンポの早い会話に圧倒されていると、本の題名や声優の名前に解説が入り、少しわかったような気になりました。

さて、ここで前回話題となった某図書館の音訳CDを聞かせてもらいました。10分も聞いていられません。即、返却したという話を思い出しました。活舌がどうの、アクセントがどうのという問題ではなく、正に自分の読みに酔っているというような感じです。これは例外中の例外だと思いますが、聴かされる利用者が気の毒です。

ところでYAクラブの音訳スタイルですが、私たちの通常の音訳とは多少違うようです。楽しい音訳、つまり、音訳者自身が楽しんでいます。会の代表の美月さん自身がダイナミックリーディングと表現されているようですが、何となくわかります。ただ、こういうと、それは音訳ですか、それでいいのですかという人が必ずいます。これが不特定多数の人に向けて読まれ、図書館の蔵書になるものなら問題があるでしょう。しかし、私たちの読書スタイルが様々なように、利用者だって同じです。たまには寝っころがって読みたいこともある。

YAクラブの音訳を初めて聴いた時、図書館のものとは違うと違和感を覚えた人が2回3回と聴いている内に、すっかりハマッてしまったという話が印象的でした。読書とはきわめてプライベートなものです。読みたいものも人さまざま。音訳の仕方もその読みがいいという利用者がいれば、それでいいのではないでしょうか。大切なことは利用者にとって選択肢がいくつもあるということだと思うのですが、みなさんはどう思われますか。

(スタッフ同行 大田)

No.105 選挙公報 続報

16日(水)岐阜アソシアの高橋館長とお会いしました。所用で上京の折を狙い、時間を作っていただきました。高橋さんは日盲社協 情報サービス部会の部会長という立場もあります。そういうことから選挙公報の音訳版を手がけていらっしゃるのでその辺のお話を一度きちんと伺いたいと思っておりました。

総務省からの委託事業だとばかり思っていたら違いました。高橋さんを中心とする選挙プロジェクトの独自の取り組みです。黙認という形らしいです。視覚障害者の情報保障という面からも国が責任を持って取り組むべきことです。私たち音訳者も視覚障害者と一緒になって、行政に働きかけていかなければならないと思います。

高橋さんたちがカバーできていない小選挙区制のことやマニフェストのことなど、私たちが協力できることがありそうです。それには読みの統一ということが課題です。マニュアルを作るべきです。その他にも「地デジ」関連の情報や、「インフルエンザ」に対する情報が不足しているそうです。正に生活情報そのものです。

全国音訳ボランティアネットワークとしては単独でできないことでも、この高橋さんたちのような方々と情報交換し、連携できればより有意義な活動ができるのではと考えています。

(スタッフ 鶴岡、居谷同行)

No.104 1通の投書から

9月1日付、朝日新聞「声」欄に、懐かしい名前を見つけました。北海道の今井房江さんです。当音ボラネットの立ち上げの頃から熱心に応援をして下さっている会員のお一人です。

内容は同紙の8月27日付夕刊に『視覚障害者のための点字版「選挙公報」が前回の3倍近い約11万2千部が印刷され各都道府県に発送される』という、記事が載りました。このことは大いに評価できるが、中途失明者の多くは点字の習得が容易ではなく、点字版の「選挙公報」だけでは片手落ち。音訳版でもぜひ同様に情報を届けて欲しいというものでした。音訳者も必要なことにはきちんと声をあげていくべきだと今井さんの投書に教えられました。

さて、マニフェストについては、こちらも私たちの会員である「テープ版読者会」(東京)に社民党から直接依頼があり、音訳をし、党に納めたと報告をいただいておりました。その他の政党のものはどこかで点字版か音訳版が出されたのでしょうか。「選挙公報」に関しては、2年前、初めて合成音声で、そして今回は肉声で読まれたと聞き及びました。

各選管から利用者に配布されているはずですが、それぞれの都道府県で、活用方法がまちまちのようです。この辺の情報が周知されているわけではなく、利用者からはもちろん、音訳者からも当方に問い合わせがあるのが実状です。

今回の衆院選で特にマニフェストに注目が集まりましたが、これも全政党のものを手分けして音訳し、その情報を1か所に集約し、貸し出すということができれば便利です。来年2010年には参院選がありますので、次の会報「音ボラネット通信」に「選挙公報」の現状のようなことを載せてみたいと思っております。(予定)

皆さまも何かありましたら、情報をお寄せ下さい。

No.103 ヤングアダルト

8月16日(日)埼玉県上尾市内にある「YAクラブ」に伺いました。主催の美月さん、事務局の加藤さんや会員の皆さんの月に1回の例会です。加藤さんのご自宅の敷地内に建つログハウスが事務局です。(事務局があるということはうらやましいかぎりです。)

基本的には読者サークルということですが、主に朗読協力員と呼ばれている音訳ボランティアが読んだものの編集やモニターなど、見えない人も一緒に作業をしているとのこと。情報交換を兼ねた「おしゃべり」が最高に楽しそうでした。その「おしゃべり」の中から「その本おもしろそう、私も読みたい(聞きたい)」となると、「じゃあ音訳しちゃえ」ということにもなるそうです。著作権のことは許諾申請部がしっかり働いています。

私自身、今までなじみのなかったヤングアダルト層(20代後半くらいまで?)向けのヤングアダルト部門に関する皆さんの知識や情報は半端ではありません。飛び交う作者名も作品名もまるでわかりません。勉強不足を痛感しました。

それぞれに仕事を持ち、趣味は歌だったり、朗読劇だったり、演劇だったりとみなさんとてもパワフル。音訳と朗読の違いはということについて、点字とは違うから感情が入るのが当たり前。小説を何かの取扱説明書と同じに読まれても困るという話には大いに納得。また、ある図書館のものはなまりがある。また、音訳者がウルウルしながら(本の内容に感動して?)読んでいるものもある。途中で返却してしまうという話には返す言葉もなし。2度、3度とおじゃまをして、皆さんの生の声をじっくりと聞かせていただきたいと思った一日でした。

No.102 雑誌「世界」プロジェクト

以前ご紹介した、月刊「世界」全文音訳化のためのプロジェクトが動き始めました。8月3日、高田馬場に関係者が集まりました。特に「文芸春秋」の編集をして下さっている「音訳百舌の会」の妹尾さんにも参加していただきました。貴重な現場の生の声が聞けて、ひとつひとつ参考になりました。

2010年3月まではテスト期間とし、4月から正式に軌道に乗せたいというのが、松井さんはじめ皆さんの希望です。今のところは千葉と東京で9月〜11月までと2月の読み手グループが決まりました。12月と1月がまだ読み手がおりません。千葉、東京はもとより、神奈川、埼玉からも参加していただけるとありがたいです。ぜひ、よろしくお願いいたします。

事務局:東京ヘレン・ケラー協会点字図書館

DAISY編集:テープ版読者会

コーディネーター:松井進さん (千葉県立中央図書館)

製作方法:音訳グループ単位による参加 録音はDAISY形式

音訳期間 − 音訳・校正(2週間)

校正−グループ内相互校正

編集−テープ版読者会

提供−東京ヘレンケラー協会から、びぶりおネット経由による配信・CDによる郵送貸し出し

今回のことは点字図書館と地域ボランティアのコラボレーションで今後のボランティア活動の方向性を考える一つのテストケースではないでしょうか。うまくいくといいですね。

*連絡先 松井進さん 千葉県立中央図書館 障害者サービス担当 電話;043−222−0116 FAX;043−225-8355

E-mail;matsui-s@library.pref.chiba.lg.jp

No.101 北海道訪問 その2

8月1日、札幌で朗読ボランティアネットワーク・北海道の研修会があり、話をさせていただきました。そもそも1年前、札幌リーディングサービスの田中隆子さんにかけた1本の電話から始まりました。札幌に伺うので何人かの方と情報交換したいと。

例年、午前中は講演、午後は分科会というパターンだったようですが、今年は午前の部に私が、午後の部には横浜市立中央図書館の川上正信さん、ということで二題の講演が並びました。例年どおりというのを変えるのは勇気のいることです。たぶん田中さんが役員のみなさんを説得するのは大変だっただろうと思いますが、全道から250人もの参加がありました。

私に関してはネットワークを立ち上げた者が、わざわざ東京から来て、足でかせいだ情報を直接伝えてくれた。このことに意義を感じ、大いなる仲間意識を持って歓迎して下さったのだと、しみじみ感じたことでした。

ある方が、私たち役員が東京へ行って、聞いてきたことを伝えるより、何倍ものインパクトがありますと言ってくれました。正にこういうことだとおもいました。ちなみに、この朗読ボランティアネットワーク・北海道はすでに立ち上げから10年が経過とのこと。すごいことです。広い北の大地に早くから横のつながりをとネットワークを作られたみなさまには、敬意を表します。ひとりひとりしっかりとした意見を持っている方が多いように、お見受けしました。お世話して下さったみなみなさまに、この場をかりてお礼申し上げます。

No.100 北海道訪問 その1

7月30日、31日、全日本盲学校教育研究大会・北海道大会に参加するにあたり、せっかくの機会なので北海道の音訳ボランティアのみなさんと交流をしたいと考えました。29日は函館で青い鳥朗読奉仕団の森田直子さんが中心となり企画を立ててくれました。東京から函館まで飛行機で約1時間、札幌まで電車で4時間というのはなんだか不思議です。

音ボラネット会員の「函館朗読奉仕会」「あゆみの会」「函館RC」みなさんが集まってくれました。日頃の不摂生がたたり、のどがやられ、咳が出、声枯れの最悪の状態の私の話を聴いて下さってありがとうございました。2008年医療関係の音訳を考えるシンポジウムに参加して下さった函館視力障害センターの伊藤淳子先生にも再会できましたし、森田さんに紹介することもできました。函館でも、頑張っているみなさんからエールを頂きました。