朝からの雪のなか、盲目のオモシロスーダン人、アブディンさんの「見えなければ見えてこない日本のおもしろさ」と題した講演会に伺いました。
埼玉県は三芳町の「視覚障害者普及啓発講演会」です。
そもそも昨年の7月に、三芳町役場福祉課の三室さんからの一通のメールが事の発端でした。私たちのような一ボランティア団体のアドバイスを、一つ一つ頷いて聞いてくださり、行政主導で着々と準備を進めてきました。
アブディンさんとは、面識もありませんでしたが、講師として推薦しました。
アブディンさんの「わが盲想」(ポプラ社)を、ぜひ買ってお読みください。
でもやはり、生アブディンさんは、おもしろい。期待を裏切らないユーモア溢れる体験談の数々、楽しみました。
北アフリカに位置するスーダン共和国の首都ハルツームの出身です。 平均最高気温が37℃。5人兄弟の次男で3人が視覚障害。近親結婚の多い地域柄、障害者の3割が視覚障害者だそうです。点字や盲学校の存在も知らず、日本語もわからないまま、19歳で国際視覚障害者援護協会の招きで来日。福井県立盲学校で、点字や鍼灸を学び、現在は東京外国語大学大学院で、博士論文を執筆中だそうです。
第一に点字の習得、そして次にパソコンを勉強して、更に上のレベルに進めた喜びは、大きかったと。青春18切符で、あちこち旅をしたことや、ホームステイ先での経験などが、全部生きている感じがします。明るくてたくましいです。でも、色々ご苦労があったことは、想像にかたくありません。
さて、日本語上達ツールとしては、録音図書とラジオだそうです。控え室でご挨拶したときも、録音図書のお世話になっていますと、おっしゃっていました。好きな作家は、夏目漱石と三浦綾子とか。漱石の魅力は、文体が美しい、人の感情が上手に表現されていると。
日本人の30代の中で、どれほど漱石について語れる人が、いるだろうかと思いました。
そしてアブディンさんが声高に語ったわけではありませんが、障害者の就労問題、根本には、日本人の障害者への真の理解が進んでいないのではと、考えさせられました。降り続く雪のせいで、私たち音ボラネットの事務局をはじめとする県外組は、予定の半分以下になってしまいました。
雪国生まれの私としては、こんなの雪の部類に入らないわよと思いながら、都会の雪は厄介です。
三芳町のみなさま、お世話になりました。
これからもまた、よろしくお願いいたします。