世の中には、さまざまな障害があります。そして第三者からは、なかなか理解されにくい障害があるように思います。
今年初の出版UD研究会は、「編集者・デザイナーが知っておきたいカラーユニバーサルデザインの基礎知識」をテーマに、NPO法人カラーユニバーサルデザイン機構の三人から発表がありました。三人とも色覚障害の当事者です。
今さらですが、ここで復習です。
ユニバーサルデザイン(UD)とは、「年齢や障害の有無などにかかわらずすべての人が、快適で安全に暮らせるように街づくりや物づくり、サービスなどにあらかじめ配慮する」考え方です。
そして色の見え方の多様性に配慮したのがカラーUDです。
まず色弱と言われる人は、男性に多く、日本では男性の20人に1人、女性は500人に1人の割合だそうです。
そういえば昔、小学校で色覚異常の検査が実施されていました。石原表というそうです。正常者が、色の差が大きく違って見える2つの色(赤と緑とか)が、色覚異常者には、色の違いが小さく感じられ判別が困難になることがあります。
擬似体験レンズが配布され、みんなで見えにくさを体験しました。
ワークショップでは、お隣の方が当事者で具体的に困っていることを話してくれました。例えば、手帳の日付の数字は、たいてい平日が黒、日曜・祭日は赤で表示されています。が、みんな同じ黒に見えるとか、洋服はすべて、黒か白か青しか買わないとか、外見からわからないぶん、ひそかにご苦労なさっているのだなあと思いました。
差別化するためにか、地図や各種申込書や教科書など、ずいぶんカラフルになっていて、パッと見てわかるようになっています。
しかしそのことが逆に、色弱のみなさんには、わかりづらく、正しい情報が伝わらないということが多々あります。
案内図などさまざまな分野で色を見分けにくい人にも、情報が伝わるようにしないといけないということを実感しました。
デザイン性とかこだわりとかもあるので、簡単には変えられないだろうなあと思いましたが、色の選び方や組合せ、縁取りをするとか工夫しだいで美しいものができるんだということも実例をあげて見せていただきました。
企業などの取り組みもだいぶ変わってきているようです。
まずは、こういう見え方があるということを多くの人が理解することが大切。そしてそれぞれが主張するだけではなく、少しずつでも歩みよることの大切さを学びました。
これは、いつでもどこでも感じることでもあります。