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No.361 ディスレクシアセミナー

ずいぶん久しぶりに、NPO法人エッジの会長である藤堂さんのディスレクシアセミナー「ディスレクシアを活かす~個性の磨き方・輝かせ方~」に参加しました。

藤堂さんがエッジを立ち上げたのは今から15年前、お子さんが英国留学時にディスレクシアと判明したことが、きっかけのようです。LD(学習障害)の中核症状であるディスレクシアの啓発・サポート等を続けています。

参加者の多くは、若い保護者のようでした。わが子のここが変だが検査をしてもらったほうがいいのか、というような質問がありました。

これに対し藤堂さんからは、診断は受験時に必要との回答がありました。やはり受験にあたって、さまざまな合理的配慮を受けるための証明ということでしょうか。

さて、今やディスレクシアは人口の10%と言われていて、最近クローズアップされてきたという印象ですが、太古の昔から存在していたそうです。
ところで、大切なことは、当事者や保護者の生の声を聞くことだと再確認しました。ディスレクシアとは、読みが困難、その結果の書きの困難があげられます。

まるで読めないわけではなく、読みのスピードだとか正確さ流暢さに劣るというようなことがあります。見た目にはわからないので、親や家族ですら理解できない、ましてや一般の人にはなおさらです。
学校の先生も対応しきれていません。気付かずに本人を傷つけてしまっています。

「そんなこともできないの」「できなかったら100回やりなさい」とか。結果、本人は自分はバカだと思う。そこからの立ち直りは、非常に厳しいものがあります。日本では、読み書き、計算ができないのは、ダメ!と決めつけて、できないことに目がいきます。
素晴らしいものを持っているのにもったいない。欠けているのは、これとこれ。そのためにはどうしたらいいのか。こんな方法があるよ、というのが海外の対応のようです。そういえば海外の方が気が楽、自分らしくいられるという当事者の声を思い出しました。

エッジとしての対応は、本人、保護者、学校、支援者からの相談に応える。また情報の発信や講座の開催。そして学習支援員の養成などがあります。中でも私が特に興味を持ったのは、音声教材BEAMです。
音声化された情報の方が理解が進むことがあります。教科書を見ながら音声で聞くことで文字と意味が繋がることがあります。
エッジでは主に国語の教科書のなかの物語の部分を中心に音声化したものをダウンロードできるようにしています。

港区の音訳ボランティアが協力しているようです。いろいろな活動があります。
この度も大変勉強になりました。

No.337 全日盲研

第89回全日本盲学校研究大会高知大会に参加しました。
高知市内で、全国からの300数十名の先生方が集まって、「視覚障害教育における専門性の維持・継承と未来への取り組み」~今求められる視覚障害教育の専門性を考える~をテーマに2日間にわたり開催されました。

開会式後の講演は、今注目の理化学研究所 発生・再生科学総合研究センターの高橋政代さんの「網膜再生医療とロービジョンケア」でした。
とても興味ある再生医療の最先端の話を、わかりやすく、聞かせていただきました。
あのiPS細胞が、再生医療を実現するために、重要な役割を果たすと期待されています。
細胞培養を行っている患者の網膜再生のための移植手術は、順調に推移しているそうで、特にロービジョンのみなさんの期待は、とりわけ大きいことでしょう。

さて、講演に続くのは、お昼を挟んでの分科会です。
各校の先生方の、日頃の取り組みの発表です。

私は、昨年の大会には参加できなかったので、断言はできませんが、今年、先生方の発表や質問のなかに、「視覚認知障害」という言葉が複数出ていました。
初めてではないでしょうか。いわゆるディスレクシア等の学習障害のことかと思います。

盲学校小学部における児童の減少傾向の中、単一の視覚障害だけではなく、重複障害や視覚認知障害が少しずつ増えているのかなという印象をうけました。
自ずと対応が変わってきます。現場の先生方の悩みや戸惑いがわかるような気がします。
学校間の連携はもちろん、僭越ながら私たちのような外部との連携も、重要になってくるのではないでしょうか。

また、さまざまな気付きや出会いがありました。
全国校長会の現会長、三谷校長先生や前会長の澤田校長先生には、特にお世話になりました。
ありがとうございました。

No.271 ディスレクシアな日々  ~美んちゃんの場合~

楽しい催しに参加しました。
発達障害への理解を深めるための映画と講演の集いです。
NPO法人みなと障がい者福祉事業団主催のドキュメンタリー映画「ディスレクシアな日々ー美んちゃんの場合」の上映と講演です。
まず、港区ですが、ディスレクシアを持つ人の啓発、サポートとネットワークを目的として設立されたEDGE(エッジ)の事務局があるからでしょうか、取り組みが進んでいると、主催者の挨拶を聞いて、感じました。
映画は、視覚障害の方たちのために、音声ガイドがつけられました。
美んちゃんは、留学先のイギリスでディスレクシアではと、指摘されました。
見た目もおしゃべりも普通。友達もたくさんいる。でも、読み書きに困難さがある。書類や報告書を作り、本を読むことが、大の苦手。
やっと就職しても、次々にクビになる。
思えば、子どもの時から、どんなに頑張っても成績が上がらなかった。問題はわかっていても、読み書きに時間がかかったり、文字の間違い、うっかりミスが多かった。
また、一番身近かな理解者であるはずのお母さんが、娘(美んちゃん)の障害を認めたくなかったがために、対立したりと、なかなか厳しい現実のなか、それでも美んちゃんは、負けない。明るく前向きに生きています。
そして、障害者によるビジネスプランコンテストに応募し、渋谷区代々木に「ユーロ・デリ」というお店を、持つまでになりました。
プロ級のヘアメイクのアルバイトもしています。
何しろペーパーテストが苦手なので、なかなか資格がとれません。
さて、美んちゃんが言っていました。
「私は自分の障害の正体がわからないまま、大人になった」 「小さい時に、自分の障害がわかり、それなりの支援があれば、もう少し違っていたかも」と。
ここでもやはり、当事者の生の声を聞くことの大切さを再確認しました。
ところで現在、小・中学生の6.5%が、発達障害を持った子どもと言われています。
現在私たちも、そういう子どもたちのために、ささやかですが、マルチメディアDAISY図書の音源を提供しています。この活動を通して、もっともっと学習障害への理解が広がらないものかと思っていました。でも、どなたかが言われていましたが「ディスレクシアに風が来ている」と。同感です。
ディスレクシアが取り上げられるようになりました。そして、当事者や保護者、支援者が一緒になって、もっともっと大きな風を吹かせないといけないと思います。
重くなりがちなテーマの催しですが、美んちゃんのパーソナリティーのおかげで、とても楽しい一時でした。
この催しを紹介してくれて、一緒に参加したIMDプロジェクトの佐伯さん、和田さんと、美んちゃんのお店で、売っているパウンドケーキを買い、美んちゃんの笑顔に送られて家路につきました。