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No.331 「デイジー信州」研修会

爽やか信州は、どこへ行ったのかと思うほど暑い長野県上田市へ。
上田点字図書館主催の「デイジー信州」研修会に呼んでいただいたのです。地元のデイジー上田の原山さんの尽力が大きかったと思います。感謝です。

長野とは、ご縁を作ってくださった二人の方のおかげで、たくさんの音訳ボランティアはじめいろいろなみなさんと繋がることができました。久しくご無沙汰していましたが、今回また再訪がかないました。

原山さんは、シナノケンシのお膝元ということもあり、早い時期からデイジー化に取り組み、本当に頑張ってこられた方です。今やご主人までまきこんで、婦唱夫随?の活動です。
いつかは、私の話をみんなにも聞いてもらいたいと思ってくれていたようです。

開催が決まってから、一人でも多くの人に参加してほしいと、人集めにも奔走。みなさんもそれに応え、デイジー信州のメンバーだけではなく、近隣の音訳ボランティアも参加。70名ほどでしたでしょうか。本当にありがたいです。

「変化する読書障碍者の読書環境と音訳者の役割」について、話しました。テキスト化のこと、合成音声の進化、基本の「読み」等、二時間ほどの講演でした。県内のすべての音訳ボランティアが集まり、意見・情報交換ができる場があるといいですね。

こういった形のものを以前、シナノケンシ主催で、「パートナーミーティング」と名付け 、毎年開催されていました。今思えば、非常に貴重なことでした。中心に、企業人でありながら、ボランティア精神に溢れた方がいました。これがなくなってしまうと、とても残念です。これにかわるようなものを、どこか図書館でも、社協でも、やってくれるところはないでしょうか。

長野県内の横の繋がりが強固なものになれば、もっと効率よく、スキルの高い録音図書がもっとたくさん製作できるようになるのではと思います。

ところで、午後からの講演会に先立ち、広沢里枝子さんが、パーソナリティを担当する信越放送(SBC)上田放送局製作のトーク番組「里枝子の窓」に出させていただきました。この里枝子さんとは、5年ほど前に、長野県社協主催の集まりでお会いしました。

盲導犬ユーザーで、とても聡明できれいな方という印象でした。里枝子さんもこの時のことを覚えていてくださっていて、懐かしさを感じながら、リラックスして楽しいおしゃべりができました。

みなみなさま、本当にお世話になりました。ありがとうございました。またいつか、きっとお会いしましょうね。

No.329 マルチメディアDAISY図書

伊藤忠記念財団の読書バリアフリー研究会が、渋谷区内のこどもの城で開かれました。
マルチメディアDAISY図書(わいわい文庫)への音源を提供している私たちにとって、現場の先生方の声が聞けるのは、ありがたいことです。

ただマルチメディアDAISY図書の児童書は、極端に数が少なく、教育現場への周知が、まだまだです。そこで、矢部さんたちは、いくつかの特別支援学校に対して、配布作品の利用研究をお願いし、成果を発表してもらう場として、今回のような会を開いています。

やはり「本気の一人」が大切です。そして、その先生を支える周りの理解・応援が必要です。
現場の先生方は忙しいです。その中にあって、子どもたちのためにと、一歩踏み込んで試行錯誤する先生がいるかどうか。
よしんばそういう熱心な先生がいたとして、その先生が異動になったりするととたんに、図書の寄贈はけっこうですと、お断りがくることもあるそうです。
物事、そうそう単純にいかないのは、重々承知の上ですが、何だか悲しいですね。
知的に障害のある子や、本のページがめくれない子は、本は読まないのか、本がきらいなのか。ここに何か配慮があればと、つい考えてしまいます。

ある学校の取り組みのなかで、印象に残ったことです。主に知的障害や自閉症のある子たちが学んでいる学校です。絵があること、その絵がきれいなこと。短い話であること、繰り返しのセリフのあるもの等に関心を持ってもらえた。また演劇調のような読みがよい等々がわかったそうです。
私たちも試行錯誤でやってきましたが、通常の音訳とは別、と考えたほうが、良さそうです。

2014年版の作品のなかに、関西弁で書かれている「おこだでませんように」(小学館)が入っています。この読み手には、一番西の名古屋在住の堀尾さんに、お願いしました。会場内でのデモで、私も初めて聞きましたが、よくできています。
先生方にも、「こういうのは、楽しくていいですね、子どもたちにも興味を持ってもらえそう」と声をかけてもらいました。苦労のかいがあったと思います。いずれにしても、このマルチメディアDAISYへの認知度が高まり、活用され、子どもたちの笑顔が見られますようにと、祈らずにはいられません。

矢部さんたちも、企業の取り組みとして、なかなか厳しい面もあるようですが、少数精鋭で頑張っています。めげずに前進あるのみです。微力ですが、ともどもに頑張っていきたいと思います。
会場には、事務局の鶴岡の他に、音ボラネットの会員のみなさん。新潟からも、坂井さんが勉強したいと参加。嬉しいです。

No.324 わいわい文庫

IMDプロジェクト「わいわい文庫」への音源提供に関わって、5年目に入りました。毎回年度末に関係者が集まり、報告やら反省やら、次年度の目標やらを話し合います。今回も3月末に、伊藤忠記念財団の矢部さんたち、千葉の松井さん、プロジェクト事務局の面々と久しぶりにフルメンバーが集まりました。
すでに、2014年度分のうち、13タイトルの原本が、各地の登録音訳者に送付されました。

ところで、初めの2010年度は、児童書31タイトルをマルチメディアDAISY図書にして3月には、全国すべての特別支援学校と大規模都市の公共図書館、合わせて約1200ヵ所に寄贈されました。

当初私たちも、通常の音訳読みではなく、点と丸で忠実に間をとる。読みの早さも、かなりゆっくりめというようなことに、違和感を覚え苦労しました。(今では、かなり通常読みに近いものになっています)

また、矢部さんたちも少ない人手の中で、初めての編集作業に悪戦苦闘。やっと完成した作品を寄贈するも、フィードバックがなかったり、なかなか活用されなかったりと、厳しい立場に立たされたこともあったようです。

子どもたちも自分では、機材の操作ができない子が多く、何事も先生の手が必要となります。その先生方の7割近くが、マルチメディアDAISYを知らない、見たことがないという現状でした。ですから、活用は難しい面もありました。
でもやはり、何事もめげずに続けるということが大切です。今では、「いつもわいわい文庫を使っています」とか「子どもたちが喜んで見ています」という声が寄せられるようになりました。

矢部さんからのある日のメールに、「ある学校の卒業式に参列してきたところです」とありました。今までの積み重ねの結果の信頼関係だと、こちらも嬉しくなりました。私たちも負けてはいられません。
障害のあるすべての子どもたちの読書環境の向上のために、そして何よりも子どもたちの笑顔のために頑張ります。社会的に意義ある事業に参加させていただいているということに感謝しつつ。

No.271 ディスレクシアな日々  ~美んちゃんの場合~

楽しい催しに参加しました。
発達障害への理解を深めるための映画と講演の集いです。
NPO法人みなと障がい者福祉事業団主催のドキュメンタリー映画「ディスレクシアな日々ー美んちゃんの場合」の上映と講演です。
まず、港区ですが、ディスレクシアを持つ人の啓発、サポートとネットワークを目的として設立されたEDGE(エッジ)の事務局があるからでしょうか、取り組みが進んでいると、主催者の挨拶を聞いて、感じました。
映画は、視覚障害の方たちのために、音声ガイドがつけられました。
美んちゃんは、留学先のイギリスでディスレクシアではと、指摘されました。
見た目もおしゃべりも普通。友達もたくさんいる。でも、読み書きに困難さがある。書類や報告書を作り、本を読むことが、大の苦手。
やっと就職しても、次々にクビになる。
思えば、子どもの時から、どんなに頑張っても成績が上がらなかった。問題はわかっていても、読み書きに時間がかかったり、文字の間違い、うっかりミスが多かった。
また、一番身近かな理解者であるはずのお母さんが、娘(美んちゃん)の障害を認めたくなかったがために、対立したりと、なかなか厳しい現実のなか、それでも美んちゃんは、負けない。明るく前向きに生きています。
そして、障害者によるビジネスプランコンテストに応募し、渋谷区代々木に「ユーロ・デリ」というお店を、持つまでになりました。
プロ級のヘアメイクのアルバイトもしています。
何しろペーパーテストが苦手なので、なかなか資格がとれません。
さて、美んちゃんが言っていました。
「私は自分の障害の正体がわからないまま、大人になった」 「小さい時に、自分の障害がわかり、それなりの支援があれば、もう少し違っていたかも」と。
ここでもやはり、当事者の生の声を聞くことの大切さを再確認しました。
ところで現在、小・中学生の6.5%が、発達障害を持った子どもと言われています。
現在私たちも、そういう子どもたちのために、ささやかですが、マルチメディアDAISY図書の音源を提供しています。この活動を通して、もっともっと学習障害への理解が広がらないものかと思っていました。でも、どなたかが言われていましたが「ディスレクシアに風が来ている」と。同感です。
ディスレクシアが取り上げられるようになりました。そして、当事者や保護者、支援者が一緒になって、もっともっと大きな風を吹かせないといけないと思います。
重くなりがちなテーマの催しですが、美んちゃんのパーソナリティーのおかげで、とても楽しい一時でした。
この催しを紹介してくれて、一緒に参加したIMDプロジェクトの佐伯さん、和田さんと、美んちゃんのお店で、売っているパウンドケーキを買い、美んちゃんの笑顔に送られて家路につきました。