視覚障害の人と美術館に行ったら、何をどう説明するのだろう。長いこと気になっていたことの一つです。上野の東京都美術館(都美館)で、『日本美術院再興100年特別展「世紀の日本画」』が開催されています。
休館日の月曜日に、特別鑑賞会が行われるということで、事務局の猪俣、古屋と参加しました。
都美館と「視覚障害者とつくる美術館鑑賞ワークショップ」とのコラボです。 チラシには、「トーク∞トーク 見える人と見えない人の鑑賞プログラム」とあります。 あくまで作品解説ではなく、対話をしながら、2~3の作品を鑑賞するということです。
横山大観、小林古径、平山郁夫等々、近代日本画の巨匠たちの作品が並びます。
もちろん重要文化財もあります。
ガイドヘルパーや付き添いの家族も含め8人くらいのグループが3つ、それぞれのフロアに分かれいざ、絵の前へ。
視覚障害のナビゲーターとサポーターがリードしていきます。このサポーターというのは、美術館で活動するアートコミュニケーター(とびラー)だそうです。
想像ですが、すぐそばに、東京芸術大学があるので、学芸員というよりは、学生ボランティアではないでしょうか。
さてさて、橋本雅邦の「龍虎図屏風」、大きさを体感するために、屏風の端から端まで歩いてみました。そして見える人が、感じたことを言葉にします。
「波の音が聞こえてきそう」、「いまにも動き出しそう」等々。それに対して、見えない人が「そこはどうなっているの」とか、「どっちを向いているの」とか質問しながら、イメージを膨らませます。その屏風がガラスでおおわれていて、鑑賞する人からは、多少の距離があること、つまり、作品がどういう状態で飾られているのか、わからなかったという人がいました。見える人にとって、当たり前がそうではないことを、再確認しました。
こんな感じで進められるのですが、これだったら、たくさんの人が肩の力を抜いて、参加できると思いました。まずは、コミュニケーションを楽しむ、そして名画に親しむということでしょうか?
仙台から参加の阿部さんが、仙台でも2011年から、鑑賞会を始めたと。
「視覚障害を持つ人が美術館に行く、または来るってどういうこと?」というイメージが世の中には、まだまだあるかもしれませんが、美術館に行きたいなと思った人が、気楽に出かけ、何らかの楽しみをみつけたり、発見や学びを得たりすることが、もっと広く行なわれるようになるといいなあと思います」とも。全く同感です。
もうすぐ春ですし。みんなで外に出ましょう。きっと楽しいこと、見つかりますよ。
目からうろこ、のことがたくさんあった面白いワークショップでした。