2013年6月、視覚障害者等のための著作権の権利制限及び例外について規定した「盲人、視覚障害者その他の印刷物の判読に障害のある者が、発行された著作物を利用する機会を促進するためのマラケシュ条約」が採択されました。
これを受け現在、文化庁で「マラケシュ条約」の批准に向けた、著作権法改正が検討されています。
法第37条第3項により複製等を行える主体を拡大することが要望としてあげられています。
第37条第3項には、「福祉に関する事業を行う者で政令で定めるもの」とあります。しかし、現在の政令では、学校図書館や公共図書館、国会図書館などは明記されていますが、ボランティアグループや社会福祉協議会、障害者団体はここからは、外れています。
さて、ある報告によれば、毎年5万タイトルの書籍等が発売されている我が国にあって、視覚障害者等が、国立国会図書館やサピエ図書館からダウンロードできるアクセシブルな図書は、2015年1月現在で、点字は約16万、音声DAISYは約6万、テキストDAISYは1,237、マルチメディアDAISYにいたっては46タイトルしか存在していないということす。
ここからわかるように、アクセシブルな図書は、まるで足りていません。
図書館に関与していないボランティアグループが第37条第3項に基づき複製等を行うことができるようになれば、アクセシブルな図書の充実が図られるというものです。
今回の著作権法改正が、私たち音訳ボランティアにとって、少しでもいい方向にすすむことを祈りながら、締切日当日にパブリックコメントを提出しました。
過去何回か、筑波大附属視覚特別支援学校の宇野先生からお誘いを受け、文化庁や議員会館等に出向き、音訳ボランティアの置かれている現状について、声を大にして陳情を繰り返してきました。
今回、宇野先生や埼玉県久喜図書館の佐藤さんに背中を押され、パブリックコメントを書くことができました。
特に佐藤さんは、「当事者団体なんだから多少、過激に書いたっていいんじゃないの」と具体的なアドバイスをしてくれました。
本当にありがたいことでした。
お二人には感謝です。
お世話になっております。
法改正により利用者さんの幅が広がり、学習障害等も対象者となる様ですが、その定義が難しいと聞いています。
ですが、文化庁に要望書や今回のパブコメントを提出等の努力が実り、アクセシブル図書が増え良い方向に向かうと良いですね。
そして、発効の道を付けたすでに批准している20か国と出版物のやりとりが出来る様になる事を祈っています。