みなさま、穏やかなお正月を過ごされたことと思います。
本年もご支援・ご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
さて、暮れには会報「音ボラネット通信35号」をお送りしました。
内外から労いと感謝の言葉を、たくさん届けていただきました。
中でも、長崎のある会員さんは、参加できなかったシンポジウムの報告記事を貪り読んでいます、と。ありがたいです。励まされます。
ところで昨年の12月に日本障害者リハビリテーション協会主催の連続セミナー「読み書き障害児の教育支援―デイジー教科書の取り組みと今後の課題ー」がありました。
同協会では、平成20年度から読みに困難を抱える発達障害などの児童・生徒にデイジー教科書を製作・提供してきました。当初80名だった利用者は、29年度8000名を超えたそうです。
しかし、まだまだ一部に過ぎず更なる普及を目指し、各方面からの報告がありました。
厚労省からは、発達障害支援の取り組み、文科省は、音声教材の取り組みについて。
マルチメディアDAISY教材の導入・活用については、大阪教育大の金森先生。
デイジー教科書の製作について―理数系教科の製作における課題と今後ーは、サイエンス・アクセシビリティ・ネットの鈴木先生からお話がありました。
発達障害のなかに、トゥレット症候群とか吃音(症)なども含まれることを厚労省からの報告で初めて知りました。
さて、DAISY教材は、文科省から委託を受けたボランティア団体等が製作し、必要な児童・生徒に無償で提供されています。
担っているのは、ごく一部のボランティア団体です。
早期発見、早期支援と言われていましたが、保護者自身、わが子が学習障害だとは気づかない例も多く、学校現場も含め、社会的認知度もまだまだです。
文科省の調査によれば、DAISY教科書の利用率は、必要な子どものうち約3%のみ、通常学級の2.4%(24万人)と推計。
DAISY図書と同じようにここでも、ぜんぜん足りていないという現状です。
一人ひとり特徴が違いますから、一律にはいかない。難しいですね。
でも読み書きが苦手だから、勉強ができないというわけではありません。
適切な支援が受けられれば、可能性は広がるわけで、何とか支援の輪を広げなければなりません。
だからといって、どなたかが、製作ボランティアを増やしていかなければならないと、そして別の方は、製作ソフトが進化して、簡単に作れるようになりましたと言われていました。しかし、無償のボランティアが簡単に増えるとは思いません。
そして、専門家のみなさんには、簡単に製作できるとしても、一般には、マルチメディアDAISYの製作はまだまだハードルが高い、そう思うのは、私だけでしょうか。
でも困っている子どもたちのために、手をこまねいているわけにはいきません。
みんなで知恵を出しあいましょう。