No.172 朗読会

地下鉄押上駅から地上に出たとたん、一年ぶりにすでに地上500メートルに達した、スカイツリーとご対面です。カメラを構えた人の列が続きます。

この地で12月4日、すみだ録音グループ「声」のみなさんによる朗読会が開かれました。ずいぶん前からご案内をいただいておりましたので、日程調整がスムーズにいきました。 視覚障害者も含め会場一杯の200人が参加、盛会でした。

古典から現代物、そして落語とバラエティに富み、聴衆をあきさせません。衣装というほど凝ったものではありませんが、こちらも工夫しています。

全体を通して感じたことは、「配役の妙」ということです。例えば、源氏物語の葵上は、初々しくはかなげな風情を表せる人、源氏の君は、やはり男性なので声の低いというか太い人、年上の愛人六条御息所は、嫉妬心と哀しみを表現できる人をきちんと選んでいます。声質や年齢等に合わせて役を振り分けるコーディネーターの役は大切です。通常の音訳でも 、公平で中立の立場の人がいてその都度、読み手を選ぶことができるのが理想ではないでしょうか。 読み手によって印象がガラリと変わってしまいます。

さて個人的に一番楽しませてもらったのは、有川浩作「阪急電車」でした。主に阪急電車今津線車内が舞台で、乗り合わせた客の会話で話が進んでいきます。5人の朗読者全員の関西弁がなめらかで、違和感なく物語の世界に引き込まれました。 ある人はアクセント等、関西の友人に教えてもらったそうです。この「声」の何人かのみなさんとは親しくさせていただいていますので、なんとなくわかるのですが、それぞれの人柄にあった役を振り分けられているなと感心しました。

さて、日頃は区の刊行物等を音訳しているグループの娯楽性溢れる朗読の舞台に対する視覚障害者の生の声が聞きたいと思いました。

尚、会場で何人かの方とお話ができて、嬉しかったです。この出会いがまた次につながっていったら幸いです。

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