当初3月に予定されていた、山内薫さん(墨田区立あずま図書館)の「定年を祝う会」が、今月都内で開かれました。「山内薫さんと学ぶ障害者サービスの明日」のテーマの下、学習会という形で行われ、遠方からや、障害者の方も参加していまし。「墨田に、山内さんあり」とは、昔から、聞き及んではいましたが、実際のお付き合いは、当音ボラネットの総会(本年6月開催)の分科会へのお誘いを通してでした。その後、読み書き(代読・代筆)支援員養成講習会やシンポジウムで、ご一緒させていただいています。
40年以上にわたり、障害者サービスの向上に、尽力されてきた方であり、そのための行動の人でもあります。会場で、若かかりし頃の活動の様子が流されましたが、すべての図書館利用に障害のある人のために、図書館という建物から飛び出し、利用に困難を抱える人々に、寄り添う姿勢を貫かれた方です。老人ホームや知的障害者施設等に、出張し、本の貸し出しのみならず、紙芝居やお話、歌なども続けてこられた方です。
このような図書館職員の鏡のような山内さんの姿勢を引き継ぐ人は、出てきているのでしょうか。「思い」は共有できたとしても実践はかなり難しいのではないでしょうか。職員の数が足りない、予算がないという現状ではないかと思います。また、一概に職員の意識の低さとだけ言えない時代の壁、というようなものがあるように思います。それでも、山内さんの「思い」を受け継ごうと努力している人もいます。「思い」を共有することから、見えてくること、できることがあります。期待したいと思います。
尚、今回の記念品代は、南相馬市にある仮設住宅に子どものための本や紙芝居を送る資金としたい、というご報告をいただきました。どこまでも、山内さんらしいと感動しました。
さて、私は、この山内さんの推薦で「図書館雑誌」2011年9月号(日本図書館協会発行)に、一文を書かせていただきました。「著作権法改正と障害者サービス」に関して「拝啓 公共図書館さま」として、思いの丈を綴りました。かつて、公共図書館にも、社会福祉協議会にも属さず、まったくの地域ボランティアとして活動していた頃から感じてきたこと、そして今、全国の音訳ボランティアの代表という立場で、多くの会員の思いを代弁するつもりで、書きました。
今の私の立ち位置の如く、何の制約も受けず、自由な立場で書かせていただきました。こういう場を与えてくださった編集委員の山内さんはじめ、関係のみなさまに改めて、お礼を申し上げます。