当初、私などは、マルチメディアDAISYは、学習障害のある人たち向けのコンテンツだと理解していました。しかし、視覚障害者にとっても、デジタル録音図書として、利用できるわけです。今では、さまざまな障害者に対して有効な学習・読書支援となっています。
このマルチメディアDAISYに関しては、もっと勉強して今後、音訳者として、何かできないかと、ずっと考えています。今さら、新しいことに挑戦するのは、日頃の多忙な活動のなかで、無理という人がほとんどだろうと思います。しかし、一方で頼もしいことに、勉強熱心で、進取の気概に富んでいる人もいて、地方にあっても、今年はマルチメディアDAISYに取り組みたいと言ってくる人もいます。
こういうみなさんと、何かできないかなと、思いを巡らせていた時、嬉しいメールが届きました。昨年の総会の第2分科会にお招きした、学習障害のお子さんを持つお母さんからのメールです。会場での「勉強がしたいのに教科書がない」という、叫びは、参加者全員の心を打ちました。結果、日本点字図書館の数学をはじめとして、みなさんのおかげで教科書が届けられるようになりました。
「分科会がきっかけで、高校の教科書を製作していただき、2年生に進級できそうです。また、2年生の教科書も継続して製作していただけることことになりました。みなさまには、ほんとうに感謝で一杯です。たくさんの方に支えられています。ありがとうございます」と。こちらこそ、ありがとうございますと、言いたい嬉しいメールでした。私たちが一つのきっかけを作れたことを、誇らしく思うと共に、今、ご尽力いただいている関係のみなさまに、心からお礼を申し上げます。