去る8月に亡くなった富田倫生さんといえば、「青空文庫」の呼掛け人であるというくらいの知識しかありませんでした。もちろん面識もありません。
なのに富田さんの追悼イベント第一部、記念シンポジウムに参加したのには、わけがありました。
この追悼イベントの運営と「青空文庫」の活動を将来にわたって支援する「本の未来基金」が、創設されました。
イベントの協賛団体にと、松井さんを通じてお誘いがあったので、名前をださせていただきました。
そこで、どんなイベントなのか、参加してみないとというのが、そもそもの理由です。
インターネット上で、著作権の切れた小説等を無料で配信しているのが「青空文庫」です。常に新しい情報を求める利用者からの依頼を受ける私たち音訳者には、あまり馴染みがないかもしれません。
しかし、紙の本では、使えない人たちにとっては、ネット上で公開されていることによって、第三者の手を煩わせることなく、自分なりに加工して使えるのは、すばらしいことです。
マルチメディアDAISY図書の製作者の中には、この「青空文庫」を重宝して使っているという人もいます。
ところで、富田さんは、このことに関連して、著作権保護期間(現行、著作者の死後50年)延長に反対の活動にも取り組んでいた方だったそうです。
この保護期間は、適切な期間に調整されるべきですが、「適切な期間」を巡って、さまざまな立場が存在することになります。保護期間延長問題とは、なんなのか。国の思惑もあります。
メリット、デメリットを見極めることが、大切。
あらゆることが、勉強です。知らないことが多すぎます。
出向かなければ、わからないこと、出向かなければ出会えない人が、います。
でもこの身は、一つ。何とも悩ましいかぎりです。